19年度に「賃金改善」を予定する企業は何%? 約1万社に聞いた結果は……?:「業績的に厳しい」との声も
帝国データバンクが約1万社を対象に、2019年度の賃金改善の意向について調査した。「仕事に見合った賃金を保証したい」と答えた企業もあったが、「業績上、余裕がない」と答えな企業もあった。
2019年度に賃金改善(ベースアップ、賞与の引き上げ)を見込んでいる企業は55.5%――。帝国データバンクの調査でこんな結果が出た。前年の同時期に調査した18年度の見込み(56.5%)からは1ポイント低下したものの、3年連続で5割を超えており、同社は「19年度の賃金動向はおおむね改善傾向にある」とみている。
賃金改善を予定する企業が多い業界は、「建設」(60.0%)、「製造」(59.2%)、「運輸・倉庫」(58.0%)、「卸売」(54.2%)などに多かった。
賃金改善の内訳は、「ベースアップ」が45.6%、「賞与」が30.3%。目的は「労働力の定着・確保」(80.4%)、「自社の業績拡大」(40.9%)、「同業他社の賃金動向を踏まえた」(24.4%)などだった。
賃金改善を予定する企業からは「(社員が)残業なしでも生活できるよう、会社として賃金引き上げを意識している」「必要な人材を確保し、仕事に見合った賃金を保証することで、会社の安定と景気向上に向けて活動したい」などの声があった。
「賃金改善は行っているが、社会保険料の上昇や消費税率引き上げなどでその効果が薄れてしまう」と嘆く意見もあった。
約19%の企業が「予定なし」
一方、「19年度に賃金改善の予定がない」と答えた企業は19.1%。その理由は「自社の業績低迷」(52.6%)が最多だった。こうした企業からは「業績に賃金改善に至るだけの余裕がない」「人材不足は顕著だが、人件費の負担が大きい」との声もあった。
全社員一律での賃金改善は予定しないものの、パフォーマンスに応じた昇給を行う企業も存在し、「業績による成功報酬型の賃金設定のため。業績のよい部署はベースアップもあり得る」という意見もあった。
調査は2019年1月18〜31日に実施し、9856社から有効回答を得た。
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