「平成女子」の憂鬱 職場に取り憑く“昭和の亡霊”の正体とは?:ダイバーシティって本当?(3/5 ページ)
平成元年生まれの働く女性に本音を直撃。国や企業が掲げる「女性活躍」の建前とは裏腹に、特に「男社会」な金融系の職場にはびこるひずみを問う。
男性行員は怒鳴られ過ぎで「かわいそう」
ただ、同期の営業の男性たちが日常的に上司から怒鳴られているのを見るたびに、「男の人はかわいそう。やはり自分には無理だな」とも感じるように。男性行員によく怒鳴る上司も、女性行員には強く言わない場合が多かった。実は外回りと内勤で給与に差は無く、男性行員から「女の子はいいよね、同じ給料なのに」と言われた。「これらは差別だったのかもしれないが、自分にはありがたくもあった」(山田さん)。
そんな山田さんにも転機が訪れた。今後のキャリアを考える上でどうしても国際的に活躍できる能力がほしいと思い英会話を個人的に勉強していたが、地域密着型の地銀に外国人の顧客は乏しく、行内でのニーズは皆無と感じた。
職場のパート女性から「子どもができたらやりたいことはできない。結婚していない身軽なうちにやりたいことをやったら」と諭され、思い切って退職した。北米で語学を学んだあと、今は別の証券会社で働いている。
「メガバンク女子行員」の孤独
メガバンクでやはり総合職として働く加藤聡子さん(29、仮名)も「銀行は女性で勤めあげる人が圧倒的に少なく、上司もどうやって指導したらいいか分からないように見えた」と話す。
直接的なセクハラに悩まされたことはなかったが、最初の地方の支店勤務では数十人の職場に女性の総合職は自分1人。仕事の飲み会では酒を注いで回りカラオケにも付き合うなど、他の男性行員と全く同様に働ける点をアピールした。「男性行員たちは一般職の女性にはとても優しい。でも、私のことは総合職として扱わないと差別にもなるので、やりづらかったと思う」。下手に気を使われるのも面倒くさく、落ち込んでいるところを見せないよう何とか気を付けた。
ただ、東京に転勤後は職場の女性総合職の比率が少し高くなり、女性を部下に持ったことのある上司も増えた。周囲の女性行員に合わせて黒スーツだけでなく色付きのブラウスを着たり、ネイルを付けて出勤したりもするように。「アパレルなど女性ならではの担当を任されることもあり、女性として接してもらえて朗らかに働けるようになったと感じた」(加藤さん)。一方で「やっぱり銀行業務は男性向きの仕事という気がする……」ともらす。今は転職活動中という。
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