退職時にこそ猛烈に仕事をすべき2つの理由:「お金」と「仕事」の本当の話をしよう(4/4 ページ)
転職市場が活性化しており、何度か退職を経験した人も多いだろう。退職時にこそ猛烈に仕事に取り組むべきだと筆者は主張する。どういうことかというと……。
退職日に猛烈に働いた理由とは?
私はサラリーマン人生のなかで4回辞表を出している。そして、退職時にこそ猛烈に仕事と引き継ぎを頑張った。
会社に対しキチンと事前通知を行い、会社に要請された引き継ぎ作業以外でも必要と思えば追加で資料をつくって共有した。外部のクライアントにあいさつする際は、あいさつの是非だけでなく、内容やタイミングなどについて会社の上層部に事前了解を得るようにした。また、業務を引き継いだあとになって湧いてくる質問も必ずあるので、会社には一番つながりやすい連絡先を残し、退職日以降なにかあれば遠慮なく連絡をするように申し出た。
私は、幼い子どもを残して長期出張に旅立つ母親のような気持ちで、自分がいなくなったあと極力ストレスが発生しないよう、細心の注意を払って退職日を迎えるようにしてきた。
いま振り返れば、会社や同僚だけでなく、クライアントへの感謝の気持ちもあったと思う。退職するからには現状に不満があったわけなのだが、だからといってそれまでの恩義や愛着が消えるわけではなかった。
その結果、これまで関わった全ての組織のメンバーと現在も良好な関係が続いている。思わぬ場で再会することもあるし、助けられたりすることも予想外に多い。
「評判」という名のあなたの名刺を磨こう
会社を辞めるとき、忽然(こつぜん)と姿を消したりハチャメチャな振る舞いをしたりするようなことはしないでほしい。一社会人としてふさわしいシグナルを発する行動をして、この狭まりつつある世間におけるあなたの評判を大切にしてほしい。
これは、「将来得するかもしれないから、辞めるときにも誠実な演技をしておけ」といった損得だけの話ではない。パラダイムが大きく転換しつつある時代に、「会社を辞める」ことは「一度関わったコミュニティーから完全に断絶する」ことにはもうならないと伝えたいのだ。
もちろん、よほど待遇が悪く、心身に異常を来しそうな場合は、辞める手段など選んでいる場合ではないと断言できる。しかし、そこまであなたの状況が逼迫(ひっぱく)していないとき、周りに対してプロフェッショナルな去り際を見せることで、「評判」や「知名度」というあなたの名刺の価値を高めてほしい。それは、社会人としての自分を大切にすることにほかならないからだ。
著者プロフィール
金武偉(キム・ムイ)
個人投資家の視点で上場企業ガバナンスについて発信中。投資家。ゴールドマン・サックス証券出身。元ニューヨーク州弁護士。マンティス・アクティビスト投資1号(株)代表。ミッション・キャピタル代表。
Twitter:@BestGovernance(ハンドルネーム:投資家ウィル)
blog:個人株主ガバナンスを考えるブログ
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