我々はこれからもオフィスで働く必要があるのか?:ポスト平成の働き方(3/4 ページ)
リモートワークが普及し、自宅やコワーキングスペースなどで仕事をするビジネスパーソンが増えつつある。今後こうした動きはますます活発化する中で、これからもオフィスで働く必要はあるのだろうか……?
オフィスにしかない価値もある
リモートワークなどによって時間や場所に縛られない多様な働き方ができるようになるのは事実である。しかし、それによって失うものもあるということだ。では、改めてオフィスで働くことの価値とは何だろうか?
この点について、働き方改革やオフィス空間の分野に詳しいオカムラ フューチャーワークスタイル戦略部/WORK MILL エバンジェリストの遅野井宏さんは、「対面コミュニケーション」に加えて、「セレンディピティ」(偶然の出会い、予想外の発見)がメリットだと強調する。
「リモートワークだとやり取りする相手は基本的に自分の意思で決めてしまいます。つまり特定の人としかコミュニケーションを取らなくなります。けれども、オフィスにいれば、まったく違う部署、それこそ業務で接点のないような人から突然話し掛けられることもあります。実は働くにはそういう環境があることも大事だったりするのです」
しかし、物理的なオフィスで働くことに価値があるといっても、現状のままでいいというわけではない。多くの日本企業の場合、オフィス空間そのものは「昭和」の時代と変わっていない。固定席に会議室。そこに社員は縛られている。
冒頭で述べたように、ワークスタイルも不変だ。「会社で働くとはこういうものだ」という固定観念があるので、多くのビジネスパーソンはどんなに大変な思いをしてもオフィスに通わざるを得ないという“受け身”の状態になっている。
しかし、場所にとらわれない働き方が浸透していけば、オフィスもその選択肢の1つにすぎなくなる。つまりオフィスに出社するという行動が“能動的”なものに変わる。そうしたときに社員が働く際に選ばれる環境が用意されているかどうかはこれまで以上に重要になるはずだ。
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