復調の兆し見せる「かっぱ寿司」、春商戦で何を仕掛ける?:地方の漁協とタッグ(1/2 ページ)
「かっぱ寿司」運営元のカッパ・クリエイトが2019年春の商品戦略を発表。富山市の漁協と連携し、「白エビ」をネタに使ったすしを期間限定で提供する。サイドメニューやデザートも拡充する。
回転すしチェーン「かっぱ寿司」を展開するカッパ・クリエイトは3月6日、2019年春の商品戦略を発表した。全国各地の漁業協同組合と連携して調達力を強化し、各地の名産品をすしネタとして提供する取り組みを加速させる計画で、第1弾として「富山湾産 白えび」(1貫当たり280円、以下税別)を26日まで販売する。
競合の「くら寿司」がハンバーガーを発売するなど、業界全体で盛り上がりが続くサイドメニューも拡充し、だしに煮干しを使用したラーメンやパンケーキなどを展開する。
富山名物「白エビ」とは
白エビは柔らかな食感とコクのあるうま味が特徴の富山名物だが、富山湾など限られた地域でしか漁獲できない点、鮮度の低下が非常に速い点、食用部位が1匹当たり1.5グラムと少ない点などがネックとなり、大手チェーンはなかなか全国展開に踏み切ることができなかったという。
この課題を克服するため、カッパ・クリエイトは今回、とやま市漁業協同組合と連携してネタの提供を受ける。白エビの加工・出荷を手掛ける水文(富山市)とも手を組み、機械ではなく職人の手作業で殻をむいてもらうなどの支援を受け、食用部位もできる限り残す。
とやま市漁業協同組合の網谷繁彦代表理事は「日本海特有の冷たくてきれいな深層水で育まれた(質の)いい白エビを提供したい」、水文の水上剛社長は「(全国展開には)5000キロ近い刺身が必要で、数量をどう確保するか半年近く悩んだが、漁師の応援もあって実現できた。鮮度のいい白エビは桜色をしているので、桜色のまま提供したい」とそれぞれ話した。
ただ水上社長によると、今回の施策で重要な役割を果たす“手作業による殻むき”は「熟練の職人でも1日10キロが限界」とのこと。全国展開の裏で、職人は負担増を余儀なくされそうだ。
兵庫のホタルイカ、静岡のカツオなども展開
カッパ・クリエイトは今後も、全国の漁協や水産企業との連携を進める方針。今春は兵庫県産ホタルイカを使った「天然 兵庫県産ほたるいか沖漬け」(1貫当たり100円)を4月10日、静岡県の焼津港で獲れたカツオのたたきを使った「焼津港水揚げ 藁焼きかつお塩たたき」(2貫当たり100円)を5月15日に発売する予定だ。
同社の澄川浩太専務は「今後は、各地の名産品をかっぱ寿司の店舗で消費してもらう“地産店消”に力を入れる。漁協などと連携してこだわりの素材を入手し、すしネタの品質向上とラインアップの強化を図っていく」と強調。
「お客さまには、生産者について知ってもらうほか、『かっぱ寿司は面白そうなことをやっているな』と感じてもらいたい」(澄川専務)と話した。
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