有線放送のUSENが働き方改革に商機を見出だす訳 田村社長に直撃: 「蛍の光」並み? の帰宅曲も(3/3 ページ)
有線放送で知られるUSENが働き方改革や人手不足に商機。職場で帰宅を促す曲や店舗の省人化を促すサービスを強化している。
「オフィスは用事があるとき来る“中継点”」
――レジと言えば、10月施行の消費増税に伴う軽減税率も大きな影響が想定されます。
田村: テークアウトを手掛けている(飲食店のような)店なども、レジの改修が発生することになる。「まだいいのでは」と思う店側の気持ちも分かるが、消費税が5%から8%に上がった際も(施行の)3カ月前に顧客からの問い合わせが爆発的に増えた。この先にレジの軽減税率対応の需要のピークが来ると思う。現在は店舗向けに専属の社員を構成して訪問営業を強化している。
――このようにUSENでは、企業や店での働き方や職場改革に沿ったサービスを打ち出しています。一方で自社内での働き方改革についてはいかがでしょうか。2010年ごろには、一部で「ブラック企業」などと名指しするような報道もありました。
田村: その時は、リーマンショックの影響もあって会社が多角経営化し、コンディションがちょっと良くなかった時期ではあった。一方で、私も(13年11月に)USEN社長に就任し、いろいろと人事施策を行ってきた。社員の離職減少や、女性を含めた働き方改革などで一定の成果が出てきたと思う。
例えばグループ会社全体で推奨されているが、働く時間を定めず個々人に任せるスーパーフレックスタイム制度や、テレワークもそうだ。オフィスに来て仕事をすることが是というわけではない。
例えば営業担当者のKPI(重要業績評価指標)は、顧客とどれだけ触れ合えたかどうかだと考える。会社に来るより、客先に直行したり自宅に直帰したりすることでアポを増やす、そういった働き方をしてほしい。
支店ではよく、朝出社すると(社員全員で)ラジオ体操、その後は支店長の話を聞いてからミーティングといった働き方が行われているが、そんな時間は要らないのではないか。客に会いに行こう、オフィスは用事があるときだけ来る“中継点”だ、と私は言っている。
ABW(仕事に合わせて働く場所や机を変える手法)も半年かけて促進した。特に若い社員が活用していると思う。逆に私のような上の世代は“硬い”。マネジメントする側への「働かせ方改革」をやっていかないと、現場にいる社員も変わらないと思う。
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