「年下上司」×「年上部下」、職場でもめない付き合い方は 調査で解明:「飲みニケーション」は効果無し!?(1/4 ページ)
職場で上司より年次が上の「年上部下」が増加。役職と年齢が逆転するショックは小さくない。処方箋について中高年社員に大規模調査したパーソル総研研究員に直撃。
若い頃は会社の“一兵卒”、でもいつかは課長や部長に……。昭和的な日本企業でおなじみだった年功序列が崩れようとしている。
バブル入社など世代ごとの人数の偏りなどを背景に、企業側は往年のように中高年社員に行き渡るほどの役職を用意できなくなってきている。既に役職に就いている人も、一定の年齢に達すると一律で平社員に戻される「ポストオフ」という仕組みが多くの企業に広まりつつある。
そこで問題になってくるのが、役職を外された中高年社員に年下の上司が付く「年上部下」問題だ。特に年功序列の企業風土に慣れ切った人々にとっては、役職と年齢・年次が逆転するショックは小さくないという。
法政大学大学院政策創造研究科の石山恒貴教授とパーソル総合研究所(東京都港区)は、いわゆるミドル・シニア(中高年)の会社員の働き方について17年、計約4700人を対象にした調査を実施した。彼らが直面しやすい「年上部下」問題にも焦点を当て、『会社人生を後悔しない 40代からの仕事術』(ダイヤモンド社)として出版した(関連記事「中高年社員を確実に待ち受ける“絶望への落とし穴”とは 調査で解明」を参照)。
ベテランの部下と若い上司、双方を悩ませることもあるこの問題。パーソル総合研究所の主任研究員で本調査に携わった小林祐児さんに、データから分析した彼らの上手な付き合い方について聞いた。
年齢に束縛されてきた日本の企業社会
――今回の調査では年功序列の崩壊やポストオフにより苦しむ中高年社員の突破口について分析しています。本書の中でも特に「年上部下」に焦点が当てられています。なぜ日本企業でこの問題が今噴出しているのでしょうか。
小林: 前提として日本企業はものすごく年齢・年次に束縛される社会でした。1年ズレると(社員間の呼び方が)「さん」づけが「君」づけになります。特殊な組織のありようだったと言えるでしょう。でも今、40代以降で職位と年齢が逆転するようになってきました。
――ポストオフなどで役職から降ろされる中高年が急増しているからですね。
小林: 調査によると、特に50代前半の人から、年下上司が付くケースが増えています。自分がメンター(指導者)を務めていた後輩が上司になったりもするでしょう。大企業では異動が多いものですが、巡り巡ってまた出会うかもしれない。
(後輩に対する)「君」付けが「さん」になる。部下だけでなく、年下の上司も違和感を持ちます。今まで先輩だった人にどう接すればいいのだろうと。
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