「年下上司」×「年上部下」、職場でもめない付き合い方は 調査で解明:「飲みニケーション」は効果無し!?(2/4 ページ)
職場で上司より年次が上の「年上部下」が増加。役職と年齢が逆転するショックは小さくない。処方箋について中高年社員に大規模調査したパーソル総研研究員に直撃。
最初から全員に「さん」呼びがベスト
――「君・さん」問題は想像以上に深刻なのですね。
小林: 極めて重大ですね。最初から「さん」付けで呼ぶべきだと思います。「さん」はジェンダーフリーな点も良い。年上も年下も、男女も関係なく使えるので、「さん」に統一すべきでしょう。
――一方で、本調査では「考え方の違う人と仕事をすることは気にならない」と回答した人の割合が、50〜54歳の世代までは年齢が高くなるほど低くなるなど、そういったダイバーシティー(多様性)への許容度を持ちづらい中高年が少なくないのも事実です。そういう人ほど、立場が逆転するショックはきつそうですね。
小林: 特に立場が入れ替わった瞬間に(年上部下になった人には)強烈な違和感が生じるのだろうと思います。部下も上司も、年齢というものにとらわれてしまっている。
例えば、年下上司側が気を遣い過ぎて、(年上部下を)ほったらかしにしてしまうことがあります。ネガティブな情報のフィードバックも、どうしてもしづらくなる。でも、要所要所で見ることは大事ですね。いざ上司が評価する時に、(年上部下から)「何見て評価しているんですか」と言ってくることになる。
特に、年上部下と年下上司の間では会話量が減る傾向があります。年下上司に40代の部下ができた時、その人が新卒の時の配属先を知らないといったことはよく起きるでしょう。部下の経歴を知らずに指導してしまっているかもしれません。
「最初は商品営業部にいたんですね。ならばこれは分かりますよね」などと、(社歴の)シートを見せ合うのがいいでしょう。半年に1回の評価面談だけでは評価するのも難しいかもしれません。はやりの1on1(ワンオンワン、1対1の面談)を入れていくのが効果的です。
「飲みニケーション」は効果無し ではどうする?
――上司と部下が親密になるやり方と言うと、特に今の中高年世代では「飲みニケーション」を思い浮かべる人も多いと思います。しかし、本調査では上司・同僚との関係で「友達として持ちたい感じ」のような親密さは、個人が自力で活躍する上でプラスの影響を及ぼさないという意外な結果が出ています。
小林: 「飲みに行く」という解決策はみんな思い付きますが、プライベートの話を(上司と部下が)いくらしても活躍には統計的にも結び付きませんでした。上司と友達感覚でも、パフォーマンスは上がりません。むしろ「仕事に関するコミュニケーション」を増やすことが大事です。
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