週100時間以上働くエリートほど出世しない理由:「お金」と「仕事」の本当の話をしよう(1/4 ページ)
投資銀行やコンサルティングファームで働くエリートは長時間労働をしがちだ。しかし、業務に必死に取り組むエリートほど出世しないという。どういうことなのだろうか。
「お金」と「仕事」の本当の話をしよう:
日系企業のアジア展開支援をする「Asia Disruptive」及び社会課題解決型投資ファンド「ミッション・キャピタル」代表の金 武偉(キム・ムイ)氏が、外資系証券会社や米国大手ローファーム勤務などで学んだ「お金」と「仕事」のリアルをユーモアたっぷりに語りつくす。
名門大学を出て大手一流ファームで働くエリートたちは、働く量も半端ではない。中学校から大学院まで、第一志望校に片っ端から落ちてきた筆者は自分のことをエリートなどとは決して思わない。しかし、「この人、学歴からキャリアまでピカピカですごいな」と思えるエリートたちとは、勤め先でご一緒する機会に多く恵まれた。
そして彼らの多くは、まるでスーツをまとった“奴隷”だった。クライアントと上司の都合に合わせ、早朝なら早朝、夕刻なら夕刻で、長時間のミーティングを仕切る。当日、高額報酬を払ってくれるクライアントの前で迷惑をかけたり恥をかいたりしないよう、事前準備にも相当な時間を使う。
犠牲を払ってもねぎらわれないエリートの実態
コンサルや投資銀行、そして外資系法律事務所では、海外オフィスのエキスパートに確認をしないといけない事項が多い。とりあえずメールをするが、重鎮のエキスパートで返信をくれる人は皆無だ。ましてや、クライアントでもない社内の若手社員からくるメールならなおさらだ。
従って、自分が帰宅した後も深夜まで起きて待ち構え、時差を考慮しても失礼でない時間帯に国際電話でフォローし、論点をつぶしていく。楽しみにしていたデートや飲み会はキャンセルせざるを得ない。もし、参加できたとしても、時計ばかり気にして全く楽しめないまま、頃合いをみて中座する。
そうしてこなした会議のあとは、会社に戻って作業に取り掛かる。こなしてもこなしても減らない仕事に没頭していくと、だんだん集中力が低下し、自分が空腹であることに気が付く。ふと外を見れば、さっきまで朝日がさしていたはずの大手町のビルが、夕日に照らされている。
とっくの昔に飽きてしまった料理の出前を秘書に頼み、夕食を自分のデスクで食べる。深夜以降にタクシーで帰宅するが、そのころには疲れと睡眠不足で顔はふやけてボロボロだ。翌朝目を覚ませば、メールボックスは新着メールでてんこ盛りである。布団にくるまりながらそれらをチェックし、今日1日のタスクの優先順位を頭で決め、むっくり起き上がる。また、怒涛(どとう)の1日が始まるのだ。
こうした努力をしても、プロジェクト終了後、クライアントはファームを代表する自分の上司に感謝し、苦労をねぎらう。自分には直接言葉を掛けてくれない。そして上司は、自分にメールなどで「(プロジェクト完遂)おめでとう!」くらいは言ってくれるが、それ以上のねぎらいはない。それでも人間味のある上司なら、これまで頑張ってきた部下が週末にゆっくりと休み、リフレッシュしたタイミングを見計らってから新規プロジェクトを任せてくる。しかし、エリートファームの大部分の上司たちには、そのデリカシーすらない。
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