見えてきたホンダのMaaS戦略:池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/5 ページ)
ソフトバンクとトヨタ自動車が共同出資して立ち上げたMaaS企業「MONET」に、ホンダが資本業務提携する。同時に、MONETは88社が参加するコンソーシムも立ち上げた。なぜオールジャパンのコンソーシムが必要なのか。またホンダの狙いはどこにあるのだろうか。
3月28日、ホンダは1通のリリースを出した。
「MONETが日野自動車およびHondaと資本・業務提携」
〜MaaS事業の価値向上とモビリティサービスユーザーへのサービス向上を図る〜
MONETとは、ソフトバンクとトヨタ自動車が共同出資して立ち上げたMaaS(Mobility as a Service)の実現を目指す会社である。多少の誤解を覚悟して分かりやすさ優先で言えば、Uberのようなクルマを使ったサービス事業を立ち上げる会社だ。現状Uberがやっている事業は、配車アプリと連動したタクシーサービスのようなもので、そのための車両を専用に用意せずにシェアリングで調達するところが従来との違いとなっている。MaaSの目指す未来全体からすれば、せいぜい1合目。難しい技術は何も使っていない。
そもそもでいえばMaaSは官民合同で社会リソースを適正化させようという話なので、航空、鉄道、公共交通機関、自家用車、バイク、自転車、電動系パーソナルモビリティなどあらゆるものをシームレスに組み合わせて、生活利便性を向上させながら社会負荷を低減していこうとする壮大な話だ。国の視野からみれば、国のインフラデザインのやり直しである。
ただし、それは一企業が取り組めるレベルを大幅に逸脱しているので、企業は事業レベルでのMaaSに個別に取り組んでいる。そうした事業におけるわが国の代表例がMONETだと考えればいい。
関連記事
- トヨタとソフトバンク、新会社「MONET」設立 目指すは「自動運転×MaaS」の実現
トヨタとソフトバンクが、モビリティーサービスの分野で戦略的提携を締結。共同出資会社「MONET Technologies(モネ テクノロジーズ)」を2018年度内に設立する。当初はライドシェアビジネスを展開する予定。ゆくゆくは、自動運転技術を組み合わせたMaaSビジネスの提供を目指す。 - MaaSと地方交通の未来
地方課題の1つに高齢者などの移動手段をどうするかという話題がある。そうした中で、MaaSやCASEが注目されているが、事はそう簡単に進まないのではないだろうか。 - タイムズのカーシェアと提携するトヨタの狙い
トヨタ自動車がカーシェアリングサービス「タイムズカープラス」を運営するパーク24との提携を発表した。この背景にはトヨタの複雑で大掛かりな戦略が見えてくるのだ。 - 公共交通が示す「ドアtoドア」の未来 鉄道はMaaSの軸になれるのか
先進交通の分野で「MaaS」という言葉が話題になっている。自動車業界で語られることが多いが、鉄道とも深い関係がある。「利用者主体の移動サービス」の実現のために、鉄道こそ重要な基軸になるからだ。「ドアtoドア」のサービスを提供するために、鉄道はどうあるべきか。 - タイムズのカーシェアと提携するトヨタの狙い
トヨタ自動車がカーシェアリングサービス「タイムズカープラス」を運営するパーク24との提携を発表した。この背景にはトヨタの複雑で大掛かりな戦略が見えてくるのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.