見えてきたホンダのMaaS戦略:池田直渡「週刊モータージャーナル」(2/5 ページ)
ソフトバンクとトヨタ自動車が共同出資して立ち上げたMaaS企業「MONET」に、ホンダが資本業務提携する。同時に、MONETは88社が参加するコンソーシムも立ち上げた。なぜオールジャパンのコンソーシムが必要なのか。またホンダの狙いはどこにあるのだろうか。
事業としてのMaaS
しかし、本来MaaSはインフラレベルの話であり、事業であっても、少し複雑になると一企業の手に余る。配車やライドシェアではなく、例えばこれが過疎化が進行する地方を対象とした移動型の小売りや飲食店舗だったらどうだろう?
移動サービスである以上、スペースは限られているので、顧客の求める商品を予測して用意しなくてはならない。仮に服や靴だったりしたらサイズの把握も必要だ。しかも現実的には、それはメーカーごとに少しずつ異なる。あるいは飲食ともなれば顧客の嗜好(しこう)や予算の把握だけでなく、食材や厨房設備やレシピ情報など多岐にわたった設備と情報が必要で、かつ、アレルギーなどのクリティカルな情報も必須だ。
これらのノウハウを一番持っているのは当の小売業や飲食業の事業者だろうが、多くは事業規模が小さく、設備や流通や商品保管拠点の確保、それに加えて移動体そのものの開発まで可能かどうかは考えてみるまでもない。
だからそこにMaaSのプラットフォームを構築し、現実に事業展開する会社(サービスプロバイダー)をサポートするプラットフォーマーが求められている。
考えてみれば、ライドシェア、カーシェア、レンタカー、タクシー、小売り、宿泊、飲食、物流、イベントなどMaaSの対象となるであろう事業の一つ一つはどれも専門企業が勝ち残るためにしのぎを削る狭き門である。この点を無視して、MaaSが移動体事業である側面からひとくくりに考え、どんなジャンルでも勝ち残れるサービスの構築をプラットフォーマーが自在にできるなどと考えるとしたら、誇大妄想であって事業計画ではない。
つまりプラットフォーマーはあくまでもサービスプロバイダーと手を携えて、ということは専門事業社のノウハウを活かして、サービスごとに必要となる機能を調査、開発し、実装していかなくてはならない。
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