利用者の30%以上がキャッシュレス スタバの決済事情:次の一手はLINEとの提携
スタバ利用客の30%以上がキャッシュレスで買い物をしているという。さらにキャッシュレス決済の利用を伸ばすための戦略は?
大手IT企業や通信事業社が続々とコード決済サービスに参入するなど、日本でもキャッシュレス化の動きがようやく本格化する中、すでに利用者の30%以上がキャッシュレス決済を利用している店があるという。スターバックスだ。スタバのコーヒーは現在、どんな風に買われているのだろうか。
スターバックスコーヒージャパンによれば、現在使われている主なキャッシュレス決済サービスは、チャージ式のプリペイドカード「スターバックスカード」と、それを登録できる公式スマートフォンアプリ。カードならレジに渡して、スマホアプリなら表示したバーコードをレジで読み取ってもらって決済する。
特にスマホアプリは、購入金額に応じてもらえる「Star」を集めるとドリンクやコーヒー豆などと交換できる「Starbucks Rewards」を開始してから利用者が順調に増えており、会員登録者数は3月時点で330万人に達したという。
一方、スマホアプリには「ITが苦手な人には使ってもらいにくい」という課題もあった。同社の水口貴文CEOは「ある程度ITリテラシーのある人でなければ、アプリを使うのは難しい。私は50代だが、周囲から『どうやって使えばいいか』と質問されることも多かった」と話す。
そこで同社が考えたのが、スマホユーザーの多くが利用しているコミュニケーションアプリ「LINE」の活用だった。LINE社と連携してLINEのプラットフォーム上にスターバックスカードの決済機能を構築。LINEアプリからスターバックスカードを使えるようにした。
具体的には、4月8日からLINEアプリ上でバーチャルカード「LINEスターバックスカード」を発行できるようになる。LINE Payやスターバックス店舗から残高をチャージして使うプリペイド方式で、LINEアプリで表示したバーコードを店舗のレジで読み取って決済する。
カードを発行するだけでスターバックスの準会員として登録され、Starも集められるようになる。ためたStarを使うには本会員になる必要があるが、LINE経由ならスターバックス公式アプリよりも手間なく登録できるという。「アプリの利用はハードルが高い」と感じていた層にもLINEを使ってアプローチし、新規会員登録やキャッシュレス決済の利用を促す狙い。キャッシュレス決済についてはLINE Payの導入も拡充し、2020年夏頃までに全店舗で利用できるようにする計画だ。
また、スターバックスコーヒージャパンでは顧客の利便性向上に向け、スマホから事前に注文・決済して列に並ぶことなく商品を店舗で受け取れるMOP(モバイルオーダー&ペイ)の仕組みも2019年上期にローンチ予定。こちらはスターバックスコーヒージャパンの独自プラットフォームで提供し、LINEやLINE Payとの連携は未定とした。
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