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【第9回】順調に見えた改革案、意外な「致命的欠陥」とは?:「働き方改革」プロジェクトリーダーを命ず(3/3 ページ)
順風満帆に進んでいるように見える働き方改革案作り。しかし「このままでは失敗です」と異議が。
3つの足りないポイント
上地: 私が必要と思うのはこの3点です。
上地: 今回のプロジェクトはIT部門にとって本当に良い経験でした。RPAというのは業務改革と一体なんです。システム開発というよりは、業務のデジタル化です。ですから、「業務側の要件を訊いて、確定して、実装する」というよりは、短サイクルで試行錯誤しながら作りあげていく「アジャイル型」になります。
なので通常、業務主導で進んでいきます。それはそれで自然なことなのですが、放っておくと、組織ごとに勝手なロボットを勝手なやり方で作る羽目になってしまいます。決定プロセスや開発プロセスの最低限のルール化が不可欠です。
小田: なるほど。
上地: 通常のシステム以上に、業務と一体化しているので運用も難しいです。実際にロボットを使うのは現場ですから。エラーの時どう復旧するか、そもそもエラーが分かる設計になっているか、使っていないのに動き続けているロボットがないかとか……
小田: うむ。分かった。このまま戦線を拡大すると失敗するということだな。上地さん、IT部門で統制が利く仕組みを考えてくれるのだろう?
上地: はい。原案は作りますが、業務側の視点も不可欠ですし残念ながら、IT部門は「守らせる」力が弱いのです。
小田: よし。ここはご苦労だが、経企にもうひと頑張りしてもらう他ないな。日野下さん、いいよね?どっちにしても展開プランは君が考えねばならんのだ。
(続く)
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