日本の生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)は、2025年に7230万人、2030年には6300万人まで減少すると試算されている(労働政策研究・研修機構)。その影響を強く受けるのが国内に4000万人いるといわれる、工場や建設現場、各種店舗など現場の最前線で働く人々だ。労働人口の減少を補うためには、昨今IT化が進むバックオフィスだけでなく、現場での生産性向上に対する取り組みが急務といえる。
日本マイクロソフトは4月18日、こうした現場における「働き方改革」推進に関する説明会を実施し、デモや導入事例を交えながら最新の取り組みを紹介した。
同社の調査によれば、現場の従業員(日本マイクロソフトは、オフィスワーカーに対して“ファーストラインワーカー”と呼んでいる)が抱えている課題として、「孤独」「学習できない」「紙が多い」「会話ができない」「シフトがきつい」「危険」の6つが挙げられるという。これに対して日本マイクロソフトは、自社のMicrosoft 365 F1やSurface Go、Power Platform、HoloLensといったサービスやハードウェアを使って、ファーストラインワーカーの課題を解決するソリューションを提供してきた。
その具体例として、説明会では「保全作業を行う従業員」を想定したデモを行い、現場からの状況報告や活動内容の一元管理、ERP(Enterprise Resources Planning)と連携した業務プロセスの可視化など、働き方改革を推進する具体的なシナリオを示しながら、現場のデジタルトランスフォーメーションを実現する取り組みをアピールした。
ただし、単なる業務効率の改善にとどまらず、現場で集められたデータを統合・分析して、次のアクションに生かすためには専門的な知識を持つIT人材が必要になる。
そこで日本マイクロソフトは、製造、小売・流通、建設、ヘルスケアなど顧客の業態に合わせた具体的な導入シナリオやデータ活用の仕組みを同社のスペシャリストと顧客が共同で検討する場として、「X(クロス)インテリジェンス・センター」を開設するとした(2019年6月3日開設予定)。
「働き手が減少する中で経済を成長させるためには、業務の効率化にはとどまらない、今までにはないイノベーションを起こす必要がある。テクノロジーによって現場の最前線で活躍する従業員の新しい働き方を創出していきたい」(日本マイクロソフト執行役員の手島主税氏)
関連記事
- 製品導入の商談、負担になってない? 「Eight」のSansanが導入担当者支援するマッチングイベント開始
名刺管理アプリ「Eight」を提供するSansanがビジネスイベント「Meets」をスタート。ビジネス課題を抱える企業の導入担当者と、解決のためのサービスや製品を持つ企業をマッチングすることで、双方の業務を効率化する狙い。 - スライドさせるだけで印刷できるハンディプリンタ、リコーが発表 段ボールや上履きにも印字可能
リコーがハンディタイプのインクジェットプリンタ「RICOH Handy Printer」を4月17日に発売すると発表した。印刷したいものの上でスライドするだけでプリントできる。 - ゴーンという「怪物」を生んだのは誰か 日産“権力闘争史”から斬る
ゴーンという人物は結局、日本の企業社会において何者だったのか――。長きにわたって日産とゴーンを追い続けてきた「第一人者」に、“怪物”が生まれた真因について直撃した。 - 正社員と契約社員の格差は? 満足度や待遇を比較
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.