日本に凱旋した北米マーケットの大黒柱RAV4:池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/6 ページ)
トヨタ自動車の新型RAV4は北米で屋台骨を支える最量販車種。無骨な方向に進化し、大型化して日本に戻ってきた。3種類の四輪駆動方式の違いと特徴はいかに。
3種類の四輪駆動システム
さて、ハードウェアがどうなっているかをざっと説明しよう。基本シャシーはカムリでデビューしたGA-Kプラットフォーム。このシャシーはかなり素養が高いので、試乗前から期待が高まる。
ちなみに新型RAV4で、もっともユニークなのは、3種の異なる4WDシステムを持っている点だ。北米No.1の金看板があるからこそ可能な贅沢(ぜいたく)だろう。
ハイブリッドモデルに搭載されるシステムはE-Fourで、これは前後駆動輪はプロペラシャフトで物理的につながっていない。フロントはTHS(トヨタハイブリッドシステム)で駆動し、リヤはリヤ専用のモーターによって駆動する電気式の4WDシステムとなっている。従来のE-Fourモデルと違うのは、バッテリーとモーターを強化してリヤの駆動力を大幅に向上させている点だ。
さて、残る2つはよく似たややこしい名前がついている。「ダイナミックトルクベクタリングAWD」と「ダイナミックトルクコントロール4WD」。長いし混乱の元なのでとりあえず前者をDTV、後者をDTCと呼ぶことにしよう。値段の序列からいえばDTVの方が上位。E-Fourという燃費優先モデルに対して、普通のAWDがDTC、より走りに振ったモデルがDTVとなる。
DTV、DTC共にプロペラシャフトを持ち、電制多板クラッチを採用するが、その電制多板クラッチの装備数と場所が異なる。DTCはプロペラシャフトに、センターデフ代わりに電制多板クラッチを組み込み、リヤのデフは通常のオープンデフという構成。対してDTVの方はプロベラシャフトにデフを持たず、リヤデフの両サイドに電制多板クラッチを置く構成となっている。
何が違うかといえば、リヤに一対の電制多板クラッチを備えるDTVは、後輪左右の駆動力配分をアクティブに変えられる。左右のクラッチの圧着圧力を変えることで、外側後輪を内側より強く(速く)駆動することができ、駆動力ーーつまりエンジンの力でクルマを曲げることができる。
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