【第10話】最終回・改革プロジェクトに終わりはない:「働き方改革」プロジェクトリーダーを命ず(4/4 ページ)
軌道に乗り始めた働き方改革プロジェクト。うまくいったコツには「5カ条」が関係していたようだった。そこで意外な人物が登場……?
新たな改革プロジェクトの組織像
日野下: 現在の経企はどうなるんでしょうか。
小田: 経企には経企の役割があるだろう。戦略立案、経営管理、他のプロジェクト運営。当然、経企は残す。ただ、新組織も経企と同じく私の直轄とする。だから、経企にとっては兄弟の組織のようなものだ。連携も絶やさないでほしい。
新組織の名前が要るな。うーん。働き方改革推進部、業務改革推進部、未来志向で行くとデジタル改革推進部もありかもな。竹中さん、いいアイデアを考えておいてくれないか。
では私は、これで失礼する。酒の肴(さかな)にこれを置いていく。さっき、新組織のアイデアを考えて作ったメモだ。
竹中: 社長、新組織のメンバー構成は、もう胸の内におありなのですか。
小田: いいや、これから選ぶ。皆の意見も聞かせてくれ。ではお邪魔したね。楽しんでくれ。
来た時と同様、勢いよく襖を開き去りかけて、小田が急に振り向く。
「メンバーはこれから考えるが、新組織の長は決めてある。日野下さん、頼んだぞ」
「はい!」
精いっぱい声を張り上げて返事をした時、小田は既に襖の向こうで若手社員となにやら議論していた。
日野下は、不思議と不安を感じておらず、むしろワクワクしている自分を発見し、心中、「社長に似てきたかな」と苦笑するのだった。
(終わり)
【解説】改革推進のための組織形態とは
働き方改革、業務改革では、当初はプロジェクト型で推進するのが一般的ですが、改革規模が大きくなると、専門組織を立ち上げるケースが多くなります。X製作所でも議論されていた、ミッションの明確化、権限付与、評価といった問題に加え、デジタル化をとりこんだ働き方改革・業務改革では、事業部門の要望を聴いてIT部門がつくるといった関係ではなく、第3の立場でリードする存在が必須であること、が背景にあります。
実際、既に多くの企業がこうした新組織を立ち上げています。経営層直轄で、経営企画系人材を中心にIT、事業部門から人材を登用するケースが多くなっています。
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