【第10話】最終回・改革プロジェクトに終わりはない:「働き方改革」プロジェクトリーダーを命ず(3/4 ページ)
軌道に乗り始めた働き方改革プロジェクト。うまくいったコツには「5カ条」が関係していたようだった。そこで意外な人物が登場……?
意外な人物登場
竹中: 今週あたり、社長に呼ばれて、全社展開の計画を指示されたのではないですか?
日野下は驚く。その通りだったからだ。
日野下: 全く、何でも見抜いていらっしゃる。次のプロジェクトもお願いします。
と、にわかに個室の外が騒がしくなった。
お客たちが口々にあいさつをする間を縫って、店主に話しかける胴間声が聞こえる。
「やっぱり、日野下さんはここか! そんなことだろうと思ったよ。なに? 竹中さんも一緒か。それは好都合だ」
「お邪魔するよ」。勢いよく襖が開く。
一同は、反射的に立ち上がり、同時に叫んだ。
「しゃ、社長!」
小田: 日野下さんに話したのに3日たっても何も反応がないから、こちらから出向くことにしたよ。
福島、加藤、片桐の3人が、慌てて退出しようとする。
「社長、では、私たちはこれで失礼いたします」
小田: いやいや、いいんだ。君たちもいてくれ。そうか、皆は同期なんだな。私も昔はこの店でよく同期と飲んだものだ。この部屋にもよく来たな。
日野下: この個室もその頃からあるんですか?
小田: ああ、内装はきれいになったがな。ここで何度上司に説教されたことか。ははは、大丈夫、今日は説教じゃないから安心したまえ。
さてと、本社3部門の改革は軌道に乗った。皆、よく頑張ってくれた。感謝している。だが、これからの事業部門、営業・製造はそうはいかないぞ。本社以上に昔のやり方が残っているし、こだわりも強い。
日野下: はい。
小田: それに事業部門は当社の核だ。誰もが会社を支えてきた誇りを持っている。コストについても製造部門は円でなく銭単位で取り組んでいる。そこに「生産性を高めましょう」と訴えてもなかなか支持は得られん。
竹中: 本社より時間がかかるかもしれませんね。人数も多いですし。
小田: そうだ。息の長い取り組みになる。もしかするとこの改革には終わりはないのかもしれない。新しい技術は次々でてくるからな。
そうなると、今のプロジェクト体制では限界じゃないかと思う。今回はたまたまうまくいったが、各部門からメンバーを出すスタイルだと、コミットメントの維持が難しくなる。そこで、だ。改革をミッションとし、改革遂行の権限を与えられた組織をつくろうと思う。経企、IT、機能、事業からメンバーをアサインし、兼務はさせない。
関連記事
- 「年下上司」×「年上部下」、職場でもめない付き合い方は 調査で解明
職場で上司より年次が上の「年上部下」が増加。役職と年齢が逆転するショックは小さくない。処方箋について中高年社員に大規模調査したパーソル総研研究員に直撃。 - 「バイトテロ」が繰り返される真の理由 大戸屋一斉休業で問う
3月12日に大戸屋が一斉休業するなど社会問題化する「バイトテロ」。そのメカニズムと真の対応策について専門家に聞いた。 - 中高年社員を確実に待ち受ける“絶望への落とし穴”とは 調査で解明
企業でささやかれる「働かない中高年」問題。その背景には個人ではなく構造的問題が。調査から迫ったパーソル総研研究員に直撃。 - あなたは「上司の命令なし、社員が何でも決める」職場で働きたいか
企業で上司が一方的に命令しない「自律的」な職場が広がっている。給料や事業方針も社員が話し合ったり自己決定。苦労して例のない取り組みに挑戦する理由とは? - 「平成女子」の憂鬱 職場に取り憑く“昭和の亡霊”の正体とは?
平成元年生まれの働く女性に本音を直撃。国や企業が掲げる「女性活躍」の建前とは裏腹に、特に「男社会」な金融系の職場にはびこるひずみを問う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.