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銭湯不況時代なのに、なぜ「あけぼの湯」に人は集まるのか:東京最古の銭湯(2/4 ページ)
東京都内から銭湯が消えつつある。そんな “銭湯不況時代”でも流行る「あけぼの湯」の魅力とは。あけぼの湯の運営を担う嶋田照夫さんに話を聞いた。
銭湯も営業努力を
35年ほど前に、銭湯で軽食やビールなどを販売するサービスを都内でいち早く取り入れたのもあけぼの湯だったという。飲食を提供するには飲食店としての許可を取得する必要があったが、当時はそんな面倒な手続きにわざわざ対応する銭湯は少なかった。
「一般家庭にお風呂が普及することに伴い、『大きいお風呂』『体を洗う場所』だけの銭湯には人が集まらなくなってきました。家のお風呂では味わえない醍醐味のある、あえて行きたくなる“銭湯づくり”をしようという気持ちは、けっこう昔からありましたね」
そして30年ほど前に番頭からフロントデスク制に切り替えたのも、実は「営業努力のうちの1つだ」という。銭湯といえば、入り口付近に番頭がいて、その人が銭湯を管理している――。といったイメージが強いかもしれないが、下町にある銭湯の多くは、こうした昔ながらのシステムを踏襲している。
それも銭湯の魅力の一つとも言えるが、脱衣所が番台から丸見えであれば、最近の若い人、特に多くの女性は抵抗を感じるはずである。
銭湯離れの背景に何があるのか。スーパー銭湯のような競合の増加が大きく影響している、といった指摘もあるが、嶋田さんの考えは違う。「(銭湯を取り巻く環境に対し)文句は言うけれど、たいした営業努力をしない銭湯が多いことも、これまた事実だと思います。競合への対抗策や集客について、我々自身も工夫していく必要がある」と、これからの銭湯は時代の変化を捉えた運営を模索していく必要があると冷静に語った。
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