自動運転車で通勤できる日は来るのか:まずは……(1/2 ページ)
自動運転技術の利点は明らかだが、皆が利用しようとすればするほど都会では渋滞がひどくなり、利用者の満足度は下がることが目に見えている。結局、通勤に自動運転車を利用できるのは都会以外か、自動運転車ばかりになる次世代を待つしかない。
日沖博道氏のプロフィール:
パスファインダーズ社長。25年にわたる戦略・業務・ITコンサルティングの経験と実績を基に「空回りしない」業務改革/IT改革を支援。アビームコンサルティング、日本ユニシス、アーサー・D・リトル、松下電送出身。一橋大学経済学部卒。日本工業大学 専門職大学院(MOTコース)客員教授(2008年〜)。
自動運転技術が注目されている。自動運転技術はレベル3以上であれば、人ではなくシステムが運転を運行・管理する。レベル4になれば完全に人は運転から解放される。
その場合の利点はいくつかあるが、社会的に見れば、人間が運転するよりも事故や渋滞を引き起こす可能性が圧倒的に少ないと期待されている(ただし別稿で指摘したように、それは単体の視点であって、過渡期においてはむしろ新しい形の事故を引き起こす可能性すらある)。
利用者個人の観点からいえば、運転に注意を払う必要がなくなる(というか運転手ではなくなる)ため、移動時には何をしていても構わない利点が大きい。つまりロボットが運転するクルマに乗せてもらっている「乗客」の立場でいられることになる。
そうなれば目的地もしくは乗り換え地まで送迎してくれるようになり(到着したら音声案内で教えてくれるだろう)、うっかり乗り過ごして遅刻してしまう心配もなくなるはずだ。
ではその自動運転車に乗っている間、皆さんだったら何をするだろうか。眠っている、ゲームをして過ごす、本を読む、等々と色々とあろう。勤め人なら、車内で仕事に取り掛かってその日の仕事の一部を早めに片付けてしまいたい人も少なくないだろう。しかも満員電車の通勤地獄からは解放され、通勤時における痴漢やその他のトラブルに遭遇する恐れもなくなる……。
どうだろう。多くの人がこぞって自動運転車に乗って通勤・通学したいと思うのではないだろうか。
ちょっと待ってほしい。コトはそんなに単純ではなさそうだ。
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