わたし、定時で帰れるの? 残業を強制できるラインはどこか:専門家のイロメガネ(3/4 ページ)
ドラマ『わたし、定時で帰ります。』が話題になる背景には、多くの人にとって定時で帰れず残業が当たり前の状況があります。本来、残業をせずに定時で帰っていいラインとはどこにあるのでしょうか?
3. 会社の残業ルール
「今日は定時で帰ろう」「プレゼンを成功させたいから、今週は残業だな」といったように、残業をするかどうかは社員が決めるものだと思っている人もいるかもしれませんが、そうとは限りません。残業のルールは会社ごとに就業規則で定められています。
一般的には「会社は残業を命じることができて、正当な理由がない限り、社員はこれを拒否することができない。」といった内容で、これ自体には問題がありません。したがってこのように定めている会社で残業を一切拒否する、といったスタンスをとることは就業規則違反となり、懲戒処分の対象になってしまいます。
ドラマでは主人公の結衣も、「緊急案件には応じますし、する時はしますよ、残業」と話しています。システムトラブルや納期変更など、急を要する状況で残業を命じられれば、残業を断る正当な理由がある、育児や介護などによる残業免除の対象である、という場合でない限り定時で帰ることはできません。
また、「自主的な残業をする場合は申請をして承認を得なければならない」といったルールを設けていることもあります。就業規則のルールもチェックして適切な判断をしましょう。
実際に定時で帰るにはどうしたらいい?
ここまで見てきたように、定時帰りは原則として法律や会社のルールによって判断されるものです。とはいえ現実問題としては帰れる雰囲気ではなかったり、業務量が多く仕事が終わらない状態で、結衣のように「定時で帰ります」と言い出すことは難しいでしょう。
本来は定時で帰るのが当たり前という雰囲気であるべきですし、普段から定時に終わらない業務量であることはそれ自体が問題です。職場の環境が変わることが望ましいですが、まずは自分が変わると決め、結衣のように、定時に仕事が終わるように自身の働き方を改善して、ルールの中で対処することが現実的です。
もちろん、実際にはドラマのようにいかない状況も多々あるかと思います。
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