現役フランチャイズオーナーが教える、FC加盟のリアル:専門家のイロメガネ(2/4 ページ)
FC加盟して脱サラ、起業する。加盟店会議では、予定した収益を大きく下回る加盟店から本部を非難、糾弾する怒号が飛び交うこともある。しかし、FC加盟でいったい「何を買っているのか?」を考えると、オーナーの責任も見えてくる。
FC加盟でオーナーは「何を買う」のか?
独立開業を考える起業家が、FC加盟を選ぶメリットについて一言で説明するとどうなるか。
簡単にいえば「時間と手間を金で買える」という点だ。
FCビジネスと聞くと、楽してもうかるネタを買えると勘違いしている方もいるかもしれないが、実際にはそんな画期的なアイデアや商材を持つFC本部はない。FCを比較するイベントは数多く開催されており、ネット上でも比較サイトがいくつもある。それらを見れば分かるが、FCビジネスのほとんどは既存のビジネスなのだ。
筆者が経営する業種も、飲食店、不動産店、介護施設と決して目新しいわけではなく、むしろありふれたビジネスだといえる。
ではFCの何を購入するのかといえば、同種の店舗を数多く展開して蓄積された経営管理のシステムに尽きる。業種に応じた原価率や人件費率など各計数の管理、接客やレジ会計などオペレーションの管理、関係法令への対応、商品やサービスの品質管理など、直営店の実績と加盟店のデータを最適化して提供してくれる。
この経営管理のシステムは、一般に想像されるよりも重要だ。
おいしい料理を作ることができて、流行りそうな店のコンセプトを思いついたからといって飲食店を開業するとどうなるか。実際の店舗の立ち上げや運営は、看板や内装やメニューの作成、会計処理や接客、適正な原価率や人件費率の判断、従業員の給与計算や社会保険、店舗のリスク管理など、経営を構成する要素は多岐にわたる。
おいしいものを作る能力と、ビジネスとして存続していくこととは同一ではない。もしそこがイコールだとしたら、世界にはマクドナルドよりおいしい料理を作れる人はいないことになってしまう。
おいしい料理を提供する飲食店が、経営管理ができずに3年ももたず廃業へと至った事例は筆者の周りにも数多い。
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