商品が上下左右に動く「謎の自販機」が、数年後に増えそうな理由:水曜インタビュー劇場(QR公演)(4/6 ページ)
京成上野駅の構内をフラフラしていると、ちょっと気になるモノが目に飛び込んできた。サイネージの画面に、漫画『キン肉マン』のフィギュアなどが並んでいて、それらの商品が左右にゆっくり動いていたのだ。謎の自販機を触ってみたところ……。
実証実験の結果「リピート率が高い」
土肥: 実証実験を行って、どのような結果が出たのでしょうか?
湯本: 小さな商品や持ち帰りが簡単なモノは店頭で購入して、重いモノ、かさばるモノ、冷蔵品などは、ミセデモを使って買う傾向がうかがえました。「商品を買いたいけれど、荷物が増えてしまう。帰りのことを考えると、無理だな」といった感じで、購入を控えていた人たちの行動を変えたのではないでしょうか。
一方、店側にとってもメリットがあったようでして。かさばるモノを店内にストックする必要がなくなるので、店舗での在庫スペースを確保する必要がなくなりました。また、重いモノを品出しする必要がなくなったので、現場で働く人の負担が軽減したそうです。
ある日、空港内で北海道の物産展が行われたので、ミセデモで産地直送の商品を販売してみました。例えば、葉っぱが付いているトウモロコシや鮮度が求められる魚などを販売したところ、好調に売れました。また、売れたのは“その場限り”ではなかったんです。
土肥: その場限りではない? どういう意味でしょうか?
湯本: 産地直送の商品を購入したお客さんは、満足度が高かったようで、リピート率が高かったんです。サイトに購入履歴が残っているので、ECサイトなどを通じて、再購入する人が多いことが分かってきました。
また、画面に触れて、実際に購入する成約率も高いことが分かってきました。通常、ECサイトのコンバージョン率は1〜2%と言われていますが、ミセデモの場合、14%もありました。
土肥: ほほー、それはそれは。
湯本: ミセデモを設置することで、店側は人手不足を解消して、売り上げを伸ばすことができるかもしれません。ただ、それだけではなく、空きスペースを解消することもできるのではないでしょうか。これまで何も置いていなかったところに設置することで、新たな収益源を生むことができるかもしれません。
土肥: であれば、飲料の自販機やATMを設置してもいいわけですよね。
湯本: もちろんそーした考え方もできますが、ミセデモの場合、広告効果が期待できるんです。画面は商品を展示するだけでなく、動画も表示させることができる。商品に関連する動画を差し込むことができるので、それを見た人は「ちょっと買ってみようか」「ふーん、こんな商品があるのか」と思ってくれるかもしれません。
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