関東圏の私鉄は「特急大競争」時代に突入した 各社の考え方:乗りたい・行きたい(2/4 ページ)
関東圏の私鉄各社が、観光地への誘致と、その際の列車利用をうながすため、新車に力を入れている。そんな各社の新車と、その背景にある考え方について、評価してみたい。
小田急ロマンスカー「GSE」は象徴的列車に
箱根という土地は、戦前から観光地として名高く、特に温泉が知られている。小田急電鉄も箱根湯本まで乗り入れ、そこから登山鉄道に乗るというルートで、箱根観光の多くの利用者が押し寄せている。
小田急は以前より箱根観光に力を入れ、箱根登山鉄道も小田急グループの一員となっている。箱根湯本の駅には観光客向け施設も完備しており、多くの観光客がそこでお土産を買っている。また、駅弁の取り扱いもある。
そんな中で、小田急は新しいロマンスカーを必要としていた。7000形「LSE」が引退する状況は分かっていたものの、ここに30000形「EXE」のような汎用性の高い車両を投入する選択肢は取らなかった。小田急は「EXE」の投入後に、50000形「VSE」を投入したところ人気が高く、さらにフラッグシップモデルを必要としている状況だった。小田急を使って箱根に行くことは、それだけ楽しみにあふれることであり、フラッグシップモデルでないと乗客の満足が得られないということなのだろう。
そこで新しい「GSE」でも、フラッグシップ路線を採用した。先頭には展望席を設け、展望エリアでは荷棚をなくし、開放感を持たせるようにしている。色は印象的な赤。かつてのロマンスカーが赤を採用し、沿線にあざやかな印象を残していた伝統をいまなお引き継いでいる。
そんな「GSE」は、多くの観光客と鉄道ファンの人気を獲得している。快適な車内設備だけではなく、最高・最新のロマンスカーに乗っているという高揚感や、他社私鉄では少ない充実した車内サービスなどで、箱根観光の楽しみをさらに増している。こういった状況から、新しい「GSE」は単なる新車ではなく、象徴的な列車になったといえる。
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