製造業の「調達」を変えたサービスが、3000社以上から注目されているワケ:水曜インタビュー劇場(課題公演)(4/5 ページ)
世の中にはさまざまな課題があるが、製造業の調達に目をつけて、売り上げを伸ばしている企業がある。2017年11月に創業した「キャディ」だ。受発注プラットフォームをローンチしたところ、利用者は右肩上がり。どんなサービスかというと……。
価格の決め方がポイント
土肥: つくってほしい製品をアップロードすると、価格や納期などが表示されるわけですが、事前に提携会社にリサーチしているわけですよね。「この部品であれば1万円ですね」「こっちの部品であれば10万円ね」といった感じで。
加藤: 板金加工って、「この部品であれば1万円ね」といった世界ではないんですよ。図面を見て、「10万円でできます」といった世界なんです。では、どうやって価格を決めているのか。
その会社はどういった機械を導入しているのか、どういった材料を使っているのか、どのくらいの時間でつくれるのか、どうやって動かしているのか――。さまざまな情報を聞いて、こういうモノであれば、このくらいの時間でつくることができる。だから、この価格でできるといった具合に決めていきました。
土肥: どういった機械を導入しているのか、どういった材料を使っているのかといった情報を聞くのは聞けても、それを価格に落とし込む作業が難しいような。
加藤: マッキンゼーで働いていたとき、製品原価はどういったロジックで決められているのかといった仕事もしていました。ということもあって、さまざまな情報から価格を決める作業はそれほど難しくはありませんでした。
土肥: ふむふむ。会社を創業して1年半ほど、CADDiをローンチして7カ月ほどしか経っていませんが、クライアントの数が多いですよね。現時点で3000社を超えていますが、この数をどのように見ていますか?
加藤: 創業前の想定よりも、売り上げは5倍ほど多いです。当社には営業の人間がいないのに、どうやってクライアントの数を増やしてきたのか。全クライアントの98%は中小企業なのですが、Webサイトから申し込まれているケースが多いんですよね。
土肥: ほー、それは意外。相見積もりを出している発注側の人って、これまでの長い付き合いがあるので、「じゃあ、この仕事はこの会社で」といった感じで、新しい取引先を積極的に探していないのかなと思っていました。いや、どこかないかなあと思っていても、プラットフォームで見つけてみようという人は少ないのかなあと。
加藤: この仕事を始める前、私もそのように感じていました。Webサイトを見て、新しい取引先を見つける人は少ないのではないかと。ただ、サービスを始めてみると、いい意味で予想を裏切られました。
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