イオンのうなぎ商戦に変化 代替品の存在感がどんどん増している:売り上げが数年で倍増(1/3 ページ)
イオンの土用の丑の日セールが本格化する。代替蒲焼の存在感は年々高まっているが、セール全体の売り上げに占める割合もここ数年で倍増した。
イオンは6月8日から「イオン」「マックスバリュ」など、全国のグループ約3000店舗で土用の丑の日商品を展開する。シラスウナギ(ウナギの稚魚)の不漁が度々報じられていることなどを踏まえ、ウナギの持続可能性を担保するような取り組みを進める一方、「代替蒲焼」の取り扱い数を増やす。
報道陣に公開されたイオン葛西店(東京都江戸川区)で展開されている土用の丑の日特設コーナーで筆者が数えたところ、うなぎの蒲焼関連商品は全13アイテムあったが、そのうち代替蒲焼は8アイテムもあった。売り場では、魚のすり身で作ったうなぎの蒲焼風商品のポップ、豚ばら肉の蒲焼をひつまぶし風に調理した丼の実物、なまずの蒲焼などの存在感が際立っていた。代替蒲焼のアイテム数が年々増えているだけでなく、ここ数年で売り上げは倍増している。
さけの腹身の蒲焼を投入
代替蒲焼の目玉となるのは「トップバリュ ASC認証 鮭腹身の蒲焼」(100グラム当たり398円、税別、以下同)だ。これは、環境にやさしいASC認証を取得したさけを使用した商品。木樽で熟成させたしょうゆを使用したタレで、脂がのったさけの腹身を炭火で焼き上げたものだ。記者発表会の場でこの蒲焼を試食してみたが、後味にほんのりとさけの風味が広がることを除けば、本物と勘違いしそうなほどの完成度だと感じた。イオンリテールの松本金蔵水産商品部長は「うなぎの蒲焼と同じ工程で製造している。タレに4回漬け込み、4回焼いている」と自信を見せた。
土用の丑の日セールにおける代替蒲焼の存在感は増している。イオンは17年に「パンガシウス」という白身魚を使った蒲焼を発売した。続いて18年にはさばを使った蒲焼がヒット。そして、代替蒲焼のラインアップを広げるために新しく投入するのがさけ腹身の蒲焼なのだ。松本部長によると、数年前には土用の丑の日セールの販売金額に占める代替品の割合は約5%だったが、18年度には約10%にまで増えたという。毎年、代替蒲焼はほぼ想定通りの数量が売れているので、イオンが狙った通り消費量が増えている。
なぜ、同社はさけに目を付けたのだろうか? 国産うなぎの蒲焼を多く消費しているのは主に50歳以上のお客だ。一方、若年層は海外産のうなぎや代替品を気軽に買う傾向があるという。また、若年層を中心にさけの人気が高まっていることも踏まえ、蒲焼の裾野を広げていくにはさけの蒲焼が最適だと判断した。
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