「ハイボール 1杯50円」で、どうやって儲けているのか 鶏ヤローのカラクリ:水曜インタビュー劇場(激安公演)(3/5 ページ)
首都圏の繁華街を歩いていると、「角ハイボール 50円」と書かれた看板を目にするようになった。激安の雰囲気が漂うこの店は、どのような特徴があるのか。運営会社の社長さんに話を聞いたところ……。
オープン初日、「終わったな」と
土肥: 「ハイボールは50円にするぞ〜」「ほかのドリンクも99円にするぞ〜」といった方針を打ち出したとき、周囲からはどのような声がありましたか?
和田: 「どうせダメでしょ」「やっても無理、無理」「続かないでしょ」といった言葉ばかり。ただ、こうしたネガティブなセリフは聞き慣れていたので、気になりませんでした。焼肉店がうまくいかず、しかもたくさんの負債を抱えている。「どうせうまくいかなくなるのであれば、一度でいいから店を満席にしたいなあ」と思っていました。「ハイボール50円」という価格設定に、勝算はなかったのですが、とにかくやってみることに。
土肥: オープンしてどうだったのですか?
和田: オープン日は、2014年2月4日。その日に合わせて準備をして、当日を迎えました。ただ、空を見て、「終わったな」と感じました。
土肥: ん? なにがあったのですか?
和田: 雪が降っていたんですよね。「いやいや、まだ初日でしょ?」と思われたかもしれませんが、資金繰りが厳しい状況は続いていました。ホームセンターで材料を購入して、看板や提灯などをつくっていました。すると、酒代などを支払うお金がなくなって、オープン日の売り上げを翌日に支払うといったスケジュールをたてていたんですよ。ということもあって、初日の天気を見て「終わったな」と感じました。
初日は17時オープンだったのですが、16時ころに外を見ると、30人ほどが並んでいたんですよ。広告を打つお金もなかったので、宣伝は一切していなかったのにもかかわらず、たくさんのお客さんが並んでいる。ただ、資金が不足していたこともあって、たくさんのスタッフを雇う余裕がありませんでした。4人に手伝ってもらったのですが、オペレーションがうまくまわらない。お客さんが料理を注文されても、すぐに出すことができなかったんですよね。
このままでは大変なことになる。危険を察知して、18時30分に閉店しました。ただ、後片付けをしているときに、このように感じました。「やっていける!」と。広告も打っていない、天気も悪い――。悪条件が重なったにもかかわらず、たくさんのお客さんが来られたということは、可能性があるのではないかと。
スタッフを増やして、準備を整えて、店をオープンしたところ、その月の売り上げは700万円ほどになりました。店舗面積を考えると、この数字はとてもよくて、客単価2000円の市場にもっと打って出ていこうと決意しました。
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