テスラModel 3試乗 これはドライバーの理想ではなく、テスラの理想:池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/5 ページ)
日本に2台しかないModel 3を試乗。ガジェット的な数々の仕掛けはひとまずおいておき、500万円オーバーのクルマとして冷静にみた場合にどうなのかをまとめてみる。また、自動運転の味付けにはメーカーの考え方がよく現れる。テスラの場合、ドライバーの理想ではなく、テスラの理想がクルマを走らせるのだ。
これぞモータードライブ
さて、クルマに乗り込んでカード型のキーを所定の位置に置けば、もうスタートボタンも何もない。ステアリングコラム右側のセレクターレバーを下に押せばDに入って走り出す。
アクセルを柔らかく踏んでみると、停止状態から転がり出しのトルクマネジメントは秀逸だ。これはエンジン車にはできない。新幹線が走り出す時のように静かに動き始め、美しい二次曲線で加速を乗せていく。多分これがテスラの一番の美点だろう。
またいわゆるワンペダル的な動き、つまりアクセルペダルを緩めた時に回生ブレーキで減速できるのもテスラの特徴だが、この制御もうまい。あまり神経質にならなくても緩め具合によってちゃんと減速度を制御できるし、全オフでの減速量も適正だ。以前乗ったModel Sの神経質さは消えている。ただしテスラの場合、頻繁にアップデートが行われているため、筆者が乗った後にModel Sも改良されている可能性はある。
高速の合流などで、アクセルを大きく開けると、その瞬間に遅滞なく高圧力で押し出されるような加速が始まる。モーターならではのレスポンスで、瞬時にタイヤのグリップ限界までのトルクをかける。この操作に対するレスポンスはやはりエンジン車では味わえない魅力だろう。ただし、そのままアクセルを開け続けても上はあまり伸びない。そういう意味ではまさにモーターの特性通りのフィールだ。
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