「コメダローソン」が誕生する日は、本当にやって来るのか:スピン経済の歩き方(3/5 ページ)
「コメダ珈琲店」などを運営するコメダホールディングスが三菱商事と資本・業務提携することを発表した。提携の目的はコメダが進める海外出店で、三菱商事のネットワークを活用していくためだというが、筆者の窪田氏はちょっと違う見方をしている。それは……。
コメダ珈琲は非常にありがたいコラボ先
一方、ローソン側の「弱点」としては、イートインコーナーが「高齢者」のニーズに応えきれていないということがある。
「高齢者の居場所としてのイートインコンビニの利用に関する研究」(公益社団法人 日本都市計画学会 都市計画報告集)によれば、コンビニのイートインコーナーは、高齢者にとって「散歩の目的地」のひとつになっている例もあり、「外出促進にもつながり得る場であることが確認された」という。
高齢化社会においてコンビニというものが、いかに重要な役割を担っているのかということだが、この研究は、イートインのある課題も浮かび上がらせた。
イートインコーナーを利用している高齢者に、利用しにくい理由はあるかと尋ねたところ、席が空いていないという回答が多かった。では、席が空いていない時はどうするのか。同じ調査で、コンビニのイートイン以外でよく休憩する場所を尋ねたところ、チェーンの喫茶店が大半を占める結果となった。
高齢者にとってコンビニのイートインはただ買い物をする店ではなく、散歩などで立ち寄れる「休憩場所」という重要な役割がある。しかし、いつも席が空いているわけではないので、チェーン喫茶店に流れる者も多いのだ。
もちろん、先ほどの調査のように平均滞在時間は15分未満なので、ちょっと待てば席は空くので、今はそこまで深刻な話ではない。しかし、これからグングンと高齢者が増えていく中で、このような不満も増えていく可能性があるのだ。
じゃあ、イートインスペースの席数を増やせばいいだろと思うかもしれないが、そういう簡単な話でもない。限られた店舗の敷地内で席数を増やせば、売り場の面積が縮小され、売り上げにも響いてくるからだ。
席を増やしたいけど増やせない。でも、社会インフラを自認するコンビニとしては、これから右肩上がりで増えていく高齢者の「休憩場所」というニーズにも応えたい。そんな悩ましい問題を抱えるローソンにとって、実はコメダ珈琲は救いの神ともいうべき非常にありがたいコラボ先なのだ。
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