「コインチェック流出、犯人はロシア系か」 朝日新聞スクープは本当なのか:世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)
朝日新聞がコインチェック事件に関して、北朝鮮ではなく「ロシア系による犯行の可能性がある」とする記事を出した。この検証は本当なのか。筆者のこれまでの取材から、北朝鮮のサイバー攻撃の特徴と変化を解説する。
6月17日、朝日新聞がサイバーセキュリティに関する興味深い記事を配信した。
その記事は「コインチェック事件、北朝鮮説に疑問符 ロシア系関与か」というタイトルで、2018年1月に約580億円相当の仮想通貨「NEM」を盗まれた仮想通貨交換業者コインチェックの事件についての内容だ。
これまで国連の北朝鮮制裁委員会専門家パネルやセキュリティ専門家らが、コインチェックへのサイバー攻撃は北朝鮮の仕業であると指摘してきた。北朝鮮ハッカーの動向をチェックしている韓国の国家情報院も、事件発生後すぐに北朝鮮の犯行である可能性を指摘している。
朝日新聞の記事によると、コインチェックへの攻撃は北朝鮮ではなく「ロシア系」による仕業の可能性があるという。記事にはこう書かれている。「ロシア系のハッカーとの関連が指摘されているウイルスが、コインチェック社員のパソコンから検出されたことが関係者の話で分かった。この事件は北朝鮮とのつながりに注目が集まったが、専門家は『未知のハッカー集団による犯行の可能性がある』としている」
この話に説得力のある根拠があれば世界的なスクープだと言っていい。言うまでもなく、仮想通貨は世界的に注目されている新しい通貨だ。いくつもの仮想通貨を取り扱っていたコインチェックの事件は、日本で発生した事件だけに、世界のどの報道機関よりも日本の報道機関に深く検証できるアドバンテージがある。
多数の記者を各方面に抱える朝日新聞の記事だけに、その影響力は強い。そこでこの記事について、筆者のこれまでの取材から考察してみたい。
関連記事
- ファーウェイの次に狙われる? 中国の「監視」を支えるあの企業
ファーウェイに続いて、中国の監視カメラ大手のハイクビジョンが米商務省の“ブラックリスト”入りするのではないかとうわさされている。世界トップシェアを誇る同社の監視技術の裏に何があるのか。そこにはファーウェイとの共通点もあって…… - 追い詰められるファーウェイ Googleの対中措置から見える背景
中国の通信機器大手、ファーウェイに対して、米国が「最後通告」ともとれる措置を実施。企業も対応を検討しており、ファーウェイ機器でGoogleのアプリやサービスなどが利用できなくなる可能性がある。騒動の背景と、今後のファーウェイの動きとは…… - 「サイバー脅威を分かってない」弱点だらけの日本企業に寄せられる、大きな期待
「脅威インテリジェンス」というサイバーセキュリティ対策が注目されている。サイバー大国・イスラエルの脅威インテリジェンス企業によると、「日本企業は本当の脅威を分かっていない」。同社が見る、日本企業の弱点と期待とは? - スーツ姿のビジネスマンが「時代遅れ」になる日
米金融大手ゴールドマン・サックスが社内のドレスコードを緩めると発表した。米国企業では、職場の服装がカジュアル化しつつある。ビジネススーツが「過去の産物」となる日も遠くないかもしれない。 - 僕らのヒーローだったジャッキー・チェンが、世界で嫌われまくっている理由
香港アクション映画の象徴的存在、ジャッキー・チェンのイメージダウンが止まらない。隠し子である「娘」の振る舞いや、自伝で語られた「ダメ人間」ぶりなどが欧米やアジアで話題になっている。私たちのヒーローだったジャッキーに何が起きているのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.