特集
見知らぬ客同士に会話させたら店員の評価UP!? 立ち飲みチェーンの狙いとは:ユニークな人事評価制度の全容とは(5/6 ページ)
名古屋発の立ち飲みチェーンがユニークな人事評価制度を導入している。見知らぬ客同士に会話を成立させたら評価がアップする。どういった狙いがあるのか。
令和時代に生き抜くビジネスモデルとは
このように、焼きとん大黒におけるビジネスモデルを中心に解説してきたが、令和時代に生き残るために必要なことは何だろうか。
外食に慣れた消費者の目はどんどん厳しくなってきている。商品やサービスの質が低かったり、店舗の清潔さが保たれていなかったりするのは論外だ。それらを高いレベルに保ったうえで、どんな価値を提供できるかどうかが重要になる。
焼きとん大黒の場合は、お客との接点を意図的に増やし、客と従業員のコミュニティーをつくることで差別化を図ろうとしている。焼きとん大黒は新規客も常連客も適度に共存できる“居心地の良いスナック”のようである。
また、定量的にカウントできる「客との接点」「客同士の会話をつないだ数」を人事評価に組み込んだことで、接客に温かみが感じられる仕掛けを構築している点も、新時代のチェーン店の可能性を感じさせる。一般的に属人性が高いサービスを提供する店はチェーン展開が難しいとされているが、独自の数値目標で管理することで、多店舗展開を狙うという試みはユニークだ。
大谷社長は会社の成長はもちろん志向しているが、他のチェーンのような急激な店舗増は目指していないという。焼きとん大黒の“緩やかな成長”はどこまで続くだろうか。
関連記事
- 家賃が200万円もするのにスタバがもうかる理由
スタバは大都市の一等地に多くの店舗を構えている。1杯数百円のコーヒーを販売しており、店に長居するお客も多い。家賃が200万円以上するような場所でも利益が出せる秘密とは? - スシローの進化についていけなかったかっぱ寿司
かつて業界をリードする立場だったかっぱ寿司が、競合他社に次々と追い抜かれている。逆転を許してしまった背景にはいったい何があるのだろうか。 - 戦う相手が強すぎて衰退した東京チカラめし
急速に店舗数を増やして大いに注目された東京チカラめし。しかし、衰退するのも早かった。理由として「店舗の急拡大にオペレーションが追い付かなかった」「店舗の清掃が行き届いていなかった」などが挙げられるが、本当にそれだけが原因なのだろうか? - 本当に同じ店? 外装をどんどん変える「焼肉きんぐ」の狙い
一般的に、大手チェーンの看板や外装は劇的に短期間で変わらない。しかし、業界大手の「焼肉きんぐ」は20年の間に、外装計画を何度も変えている。「同じ店なの?」と思ってしまうほど変化させる理由とは? - 「回転しない寿司」路線から6年 元気寿司が思い知った“意外な効果”
大手すしチェーンの元気寿司が「脱・回転」路線を打ち出している。回転レーンをやめて、注文された商品のみを特急レーンで提供。国内の152店のうち122店を「脱・回転」させた結果、思わぬ効果が生まれた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.