"腕”を取り合う競争の勝者は? 睡眠の質を測る腕時計がポラールから(2/2 ページ)
各種センサーを備えた腕時計が、ウエアラブルデバイスの本命として盛り上がってきている。10万円を超える高級腕時計市場をめぐる争いがある一方、スポーツなど特定用途向けのGPSウオッチの進化も続く。フィンランドのポラールはスポーツウオッチに睡眠の質を計測する機能を盛り込んだ。
睡眠の質をスコア化する腕時計「IGNITE」
変化の真っただ中にある腕時計市場に、心拍計の老舗であるポラールが睡眠計測機能を強化した新モデルを投入する。リストバンド型の活動量計とアスリート向けGPSウオッチの中間に位置する「IGNITE」だ。
光学センサーで心拍数を計測することで睡眠状態を計測する。新型では分析機能を強化し、レム睡眠とノンレム睡眠を把握。睡眠中の呼吸数も合わせて分析することで、「睡眠の質」をスコア化して提示する。発表会に登壇した杏林大学の古賀良彦名誉教授は、「深い睡眠(ノンレム睡眠)のときに成長ホルモンが分泌され、傷んだ体の組織を修復してくれる。一方で、レム睡眠のときに記憶の取捨選択が行われる」と、睡眠の役割を説明する。
睡眠の質を測るだけでなく、さらに自律神経系の状態を計測して、「ナイトリィチャージ」という体と心の回復状態を表すスコアも導きだす。そして、このスコアを使い、個々人に最適なトレーニングプランを提示することまでやってのける。
タッチパネル付きカラー液晶を備え、8.45ミリ、35グラムという薄型軽量。これはApple Watchよりも2ミリほど薄い。価格は3万24円で、7月下旬の発売予定だ。
フィンランドで1977年に設立されたポラールは、当初から心拍計のメーカーとして開発を続けてきた。82年には世界初のワイヤレス心拍計を発売したという歴史がある。
ポラール日本法人の園部英生社長は、「ヘルスケアデバイスを作っているつもりはない、IGNITEはトレーニングのためのデバイス。スポーツと睡眠は表裏一体だ。Apple Watchも競合ではない」と位置付けを語った。
常時腕に付け続けることで完全なデータを取れるのが、活動量計に代表されるウェアラブルデバイスだ。一方で、タイム計測や走行履歴を残すために、運動時だけに装着することの多いGPSウォッチ。ユーザーは汎用的な一本を使い続けるのか、それとも使い分けるのか。急速な機能革新と共に、人の”腕”を取り合う競争は加熱していきそうだ。
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