大手チェーンなのに店舗限定ラーメンを連発する一風堂の狙い:安藤百福氏をイメージしたラーメンも(2/2 ページ)
大手ラーメンチェーンの一風堂が店舗限定メニューを強化している。北は北海道から南は沖縄県まで11店で展開している。その狙いはどこにあるのか。
安藤百福氏をリスペクトして生まれたラーメンも
一風堂の創業者である河原成美氏自ら発案した店舗限定ラーメンもある。池田店(大阪府池田市)は、インスタントラーメンの歴史を展示する「カップヌードルミュージアム」の近くにある。「安藤百福氏がインスタントラーメンではなく、ラーメン屋を開いたら……」というテーマで、「百福元味」を開発した。これは、国産の丸鶏を使用したスープ、国産小麦を2種類使用した平打ちちぢれ麺、自家製のごぼう香油などを使ったラーメンだ。ミュージアムを楽しんだ客が、帰る途中に立ち寄って食べることもあるという。特産品を使うだけでなく、地域の文化をイメージした商品開発は今後も続けていく方針だ。
18年7月にオープンした成田空港店(千葉県成田市)では、「チキン醤油ラーメン」と「ベジラーメン」という店舗限定ラーメンを販売している。成田空港には、国内外のさまざまな客が集まってくるため、食の嗜好に幅広く対応するために開発した。とんこつラーメンが食べられないお客に好評だという。
ちなみに、数店舗だけで提供しているラーメンもある。「尾道ラーメン」は広島県内の2店舗、「川越とんこつ醤油」は埼玉県内の2店舗、「汁なしからか麺」は愛知県内の3店舗などだ。
この他の店舗限定商品を簡単に紹介しよう。福岡県には「TAO醤油」(TAO FUKUOKA店)、京都府では「ビーガンラーメン」(錦小路店)、愛知県では「からかまぜそば」(名古屋栄ブロッサ店)、東京都では「学生ラーメン」(高田馬場店)、「学生ラーメン油そば」(明大前店)、北海道では「アサブラック」と「零」(札幌麻生店)、千葉県では「千葉BLACK」と「千葉RED」だ。
地域性を出した店舗デザインも
メニューだけでなく、店内のデザインで地域性をアピールしているところもある。例えば、倉敷店(岡山県倉敷市)では、“ジーンズの聖地”と呼ばれる地域性を生かして、店内の一部にデニムを使用している。盛岡店(盛岡市)は、お客が利用する洗面台の壁に民芸品の「チャグチャグ馬コ」を置いている。
全国チェーンであっても、地域住民に愛される商品開発や運営を独自に手掛けて業績を伸ばしている「沖縄ファミマ」などの例もある。一風堂はチェーン店でありながら、地元民に愛される「個店」を拡大し続けられるだろうか。
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