窓口のインバウンド対応に特化した「翻訳機」 キングジム、参入の狙いは?:72言語に対応
キングジムは7月19日、対話型翻訳機「ワールドスピーク」を発売する。外国人観光客を対面で接客する場所に2台1組で設置して使用。窓口接客を伴う幅広い法人向けに訴求する。
事務用品メーカーのキングジムは7月19日、ホテルや観光施設などの窓口業務に対応した対話型翻訳機「ワールドスピーク」を発売する。外国人観光客を対面で接客する場所に2台1組で設置して使用。2020年の東京五輪・パラリンピックなどの国際イベントに向けて、窓口業務を伴う企業向けに訴求する。初年度に8000セットの販売を目指す。
日本の外国人観光客数は年間3000万人を超え、急激に伸びている。その一方で、観光庁によると「施設などのスタッフとのコミュニケーション」に不便を感じている観光客が多いという。キングジムは、企業などにおける多言語対応の必要性がますます高まっていくと判断し、同社として初めて翻訳機を投入した。
ワールドスピークは、タブレット型の端末を2台1組で使用する製品。両方の端末でそれぞれ言語を選び、ボタンを押しながら端末に向かって話すと、両画面にそれぞれの言語で会話が表示される。GoogleやMicrosoft、百度(バイドゥ)などの翻訳エンジンを使用しており、世界72言語に対応する。
音声による翻訳機は、ソースネクストの「POCKETALK(ポケトーク)」が代表的だ。キングジムの宮本彰社長は7月3日に開いた発表会で、「(ワールドスピークは)窓口業務を行う法人ユーザーに特化した据え置き型。主に個人使用を想定したポータブルタイプとは差別化している」と強調した。
そのため、カウンターなどに置いて使うことを想定し、2台で1セットとした。客と向き合って話すシーンを念頭に置いている。また、端末を使用していないときは、「これは音声による対話型翻訳機です。画面をタッチして言語を選択してください」と4言語で画面に表示し、カウンターに来た客が見ただけで翻訳機だと分かる工夫をしている。さらに、使用を始めると、画面の上の部分に「画面下にある左右どちらかの丸いボタンを指で押したまま話します」などと、選んだ言語で使用方法が表示されるため、言葉が通じない中で使い方を説明する必要もない。
テキストや音声を保存する機能もあり、接客の振り返りや改善にも活用できる。通信方法は、無線と有線の両方に対応。価格は2台1セットで14万8000円(税別)。月額料金などはなく、端末購入のみで利用できる。
今後、ホテルや観光施設にとどまらず、接客を伴う幅広い業種の企業に訴求していく方針。商品開発部の高尾政利氏は「有名な観光地だけでなく、外国人観光客が意外な場所に魅力を感じて訪れるケースは多い。また、公共施設など生活インフラに関わる場所でも多言語対応の必要性が高まっている」と指摘。オフィス用品で培った法人への販売ルートを活用し、販路を広げる。
宮本社長は「翻訳機の市場は、これからが一番のビジネスチャンス。市場が育っていくタイミングで参入した。翻訳技術はまだ開発途上。もっと精度を高めていきたい」と意気込みを語った。また、主力商品のラベルライター「テプラ」の外国語ラベル作成サービスと併せて、インバウンド対応の支援を打ち出していく方針だ。
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