無言が続く“お通夜会議”を脱却せよ! 主張を引き出す「3つの質問」の使い方:今日から始める“ダメ会議”脱却術(1/2 ページ)
“ダメ会議”を解決する8つの動作を紹介する連載。今回はその6となる、参加者から「主張を引き出す」コツについて解説する。
この記事は榊巻亮氏のブログ「榊巻亮の『ブレイクスルー備忘録』」より転載、編集しています。
ダメ会議からの脱却に向け、会議の基礎を解説するこの連載。今回は、会議進行時のポイント「全員から『主張を引き出す』」について解説しよう。
会議でやるべき8つの基本動作
- 会議の終了時に、「決まったこと」「やるべきこと」を確認する
- 会議の開始時に、「会議の終了条件」を確認する
- 会議の開始時に、「時間配分」を確認する
- 議論を可視化する
- 「4つのP(目的、人、進め方、装備)」を押さえて会議を準備する
- 全員から「主張を引き出す」 ←※今回はここ
- 対話を促し、合意形成する
- 振り返りをする
なぜ「全員から『主張を引き出す』」ことが重要なのか?
会議で求められるのは、「意見を押し通すこと」「議論に勝つこと」ではない。会議はディベートではないのだから、勝ち負けを競っても意味がない。多様な意見を引き出して、「俺のA案」でも「あいつのB案」でもない、「より良い第3の案」を見つけるべきなのだ。
第3の案は、「7つの習慣」で知られるスティーブン・R・コヴィー氏が説いている方法で、「あなたの方法でも、私の方法でもない、お互いに考えたこともなかったもっと良い方法を導き出し、対立を乗り越える」ことを指す。これを実現するには、参加者から意見、思い、価値観をしっかり引き出し、誤解なく分かり合った上で、結論を導いていく必要がある。
よく見る“ダメ会議”の例として「全然意見が出ない」「シーンとしていて議長だけが話している」「自分の主張だけを繰り返し、相手の主張を理解しようとしない」「平行線が続き、最後に声の大きい人の意見が通る」――といったものがあるが、目指すべき会議はそうではないはずだ。
活発に意見が出て、相手の主張を理解し、その上でより良い案を作っていく会議が理想だろう。そのためにどうすればいいのか、2つのステップで考えてみよう。
Step1. 話しやすい雰囲気を作る
そもそもお通夜のように静まり返った会議では、より良い第3の案など見つけようがない。まずは活発に意見が出る場にすることが、ダメ会議脱却の第一歩だ。
しかし、話しやすい雰囲気は放っておいても作れない。積極的に仕掛けていこう。基本的には、以下の5つをしっかりやればいい。
- 発言に対してちゃんと興味を示す
- 発言を肯定する、褒める
- 相手の表情を見る
- 同意、うなずきをする
- オウム返し、言い換えをする
仮に、会議で誰かがこう発言したとしよう。
A案の懸念は、xxな点じゃないかと思うんだ
ファシリテーターは黙って聞いていることもできるし、「それは違うだろう」と反論することもできる。しかし、ただ反応を返すだけでは話しやすい環境にはならないだろう。どうすれば、より意見を引き出せるだろうか。
例えば、ファシリテーターがこんな風に笑顔で返したらどうなるだろう?
うんうん、確かにそういう懸念ありますね
xxですか。ありそうです。良いご指摘ですね
あ、ありがとうございます! その観点は漏れてますね
途端に話しやすい雰囲気になるのが想像できるだろうか。否定したり質問するのは、場の雰囲気を作った後でいい。ファシリテーターの空気が、そのまま場の空気感になると心得てほしい。まずは、ムードメーカーとして雰囲気をコントロールしていくことが大事だ。
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