活気づく「紅茶」 背景に“個性”と“シーン”で飲み分ける選択肢:「午後の紅茶」は過去最高
紅茶飲料の市場が活性化している。キリン「午後の紅茶」は上半期として過去最高の販売数量を記録。サントリーやコカ・コーラの新商品も好調で、さまざまな個性を持った紅茶商品が増えていきそうだ。
紅茶飲料の市場が活性化している。キリンビバレッジのメガブランド「午後の紅茶」の2019年1〜6月の販売数量は上半期として過去最高を記録。他社が投入している新商品も好調な中で、これまで以上の成長を遂げている。本格的な夏に向けて、さまざまな個性を持った紅茶商品の市場が盛り上がりそうだ。
「おいしい無糖」は15%増
「午後の紅茶」ブランドの上半期の販売数量は前年同期比8%増。特に、無糖ストレートティーの「おいしい無糖」は15%増と大きく伸びた。おにぎりなどの食事との組み合わせを提案して定着した「おいしい無糖」では、新たに「脂っぽい食事との組み合わせ」を提案。日常の食卓の定番メニューであるカレーとの組み合わせを探り、販促に生かしているという。
また、3月に発売した新商品「ザ・マイスターズミルクティー」は、7月上旬に販売数量3000万本を突破。30〜40代の女性を中心に、「甘くない微糖」が受け入れられている。「甘すぎず、かといって全く甘くないわけでもない。仕事の合間に少しリフレッシュして効率を高める」(広報担当者)ニーズで飲まれているという。
同社によると、19年は紅茶飲料市場全体が1割ほど拡大している(1〜5月)。午後の紅茶ブランドだけでなく、他社が投入した商品も人気を集めているからだ。また、「タピオカミルクティー」の流行によって、店頭や街でミルクティーを目にする機会も増えている。
紅茶の選択肢が広がる
サントリー食品インターナショナルは3月に無糖のストレートティー「クラフトボスTEA ノンシュガー」を発売。7月2日には第2弾として「クラフトボス ミルクTEA」を投入した。ペットボトルコーヒーの「クラフトボス」に続き、紅茶でも存在感を放っている。
18年にコカ・コーラシステムが「紅茶花伝」ブランドに投入した新シリーズ「クラフティ―」も好調だ。第1弾の「オレンジティー」、第2弾の「ピーチティー」ともに、果汁のすっきりとした甘みがしっかりと感じられる味わいが人気を集め、19年6月までに累計出荷本数が1億4000万本を突破した。7月1日には、第3弾の新商品「贅沢しぼりアップルティー」を発売している。
紅茶の清涼飲料商品が続々と投入されたことで、紅茶を選ぶときの選択肢が広がった。「華やかな気分になりたいとき、食事のとき、まったりとリラックスしたいときなど、紅茶を飲むシーンにもいろいろある」(キリンの広報担当者)ことから、味わいや甘さによって使い分けるニーズはありそうだ。
茶葉の種類や量、フルーツやミルクの味わい、甘さ、香りなど、紅茶は個性が出しやすい商品だといえる。今後も、消費者の働き方やトレンドに応じて、新しい紅茶商品が続々と登場するかもしれない。
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