「テレビ局が株主だから大丈夫」宮迫・亮の謝罪会見に見る、吉本興業の深刻な勘違い:専門家のイロメガネ(4/6 ページ)
宮迫・亮の謝罪会見で注目されたのが、「在京5社、在阪5社のテレビ局は吉本の株主だから大丈夫」といわれた、という発言だ。これは吉本が「テレビ業界の子会社」のような位置づけに近いことを意味する。事務所を辞めるべきは芸人なのか、それとも事務所幹部なのか? そして甘い対応をすれば、テレビ局にも責任が発生する可能性もあるのではないか?
契約書の目的は「お互いを縛る」こと
大株主となるテレビ局各社は、放送の差し替えや出演部分のカット、スポンサーの降板などによる損失でカンカンに怒っていることだろう。しかしこれは吉本に注意をすれば終わるような話ではなく、テレビ局自身の問題でもある。
吉本の会長は各種メディアのインタビューで、闇営業は禁止するが契約書は交わさないと公言している。そもそも契約書を交わす目的はギャラの金額から仕事内容、トラブル発生時の対応まで、当事者の行動を「お互いに縛る」ことが目的だ。
「お互いを縛る」は「お互いに約束を守らせるために契約書はある」といい換えてもいい。契約は口頭でも成立するが、細かい内容まで詰めることはできない。それが目的で契約書を避けるのなら悪質といわざるを得ない。
実際、吉本所属の芸人・キートン氏は自らのツイッターで研修を受けたことに触れ、「約40分のコンプライアンス研修を1行でまとめると、会社は変わらない、反社に気をつけろ、何かあったら切る。って感じでした。あくまで個人的感想です」とつぶやいている。
同じく吉本所属のハリセンボン・近藤春菜氏も、口頭での契約と会長が発言していることについて「口頭でも契約なんて結んでいない、会長の話と芸人の認識には大きなズレがある、納得している人なんていない」と出演した番組で疑問を呈している(スッキリ 日本テレビ 2019年07月15)。
事務所と所属タレントは協力関係にあると同時に、ギャラの取り分を巡って対立する場合もある。だからこそ無駄なトラブルを生まないために、双方で契約書を交わす必要がある。これは弁護士から所属芸人、一般の人まで、あらゆる人が口をそろえて疑問を呈している。このような指摘を受ける吉本は、コンプライアンス、ガバナンスが壊れているとしか言いようがない。
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