明治や江崎グリコも手を出したハンバーガービジネス ロッテリアだけが飛躍した理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/5 ページ)
明治や江崎グリコといった名だたる菓子・乳業メーカーがこぞってハンバーガービジネスに参入していた。しかし、現在も大きく繁栄しているのはロッテリアだけだ。どこで差がついたのだろうか。
エビバーガー頼みからの脱却
エビバーガー頼みでは厳しいと痛感したロッテリアは、これに匹敵するヒット商品を生み出すべく、トライ&エラーを続け、07年に誕生したのが「絶品チーズバーガー」である。発売から3日間で1カ月分を完売するほどのロケットスタートだったという。
絶品チーズバーガーは“ビーフの4番バッターを生み出す”という発想で生まれた。パティはフランスの「タルタル・ドゥ・ブッフ」をヒントにして、最大約8ミリの超粗挽きにすることで、ステーキを食べているような食感を実現。さらに卵成分を練り込み、ふっくらと仕上げた。ゴーダとチェダーの2種類のナチュラルチーズを使って、コクのある味わいとなっている。バンズは、日本人好みのソフトバンズをベースに、一等粉や日本酒の酒種を酵母に使うなど、こだわりを持った素材となっている。
絶品チーズバーガーは、インパクトのあるCMの効果などもあり、エビバーガーから売り上げナンバーワンの座を奪うほどの人気となった。今はエビバーガーと並ぶ看板商品である。
その他にも、「コアラのマーチ焼」や「ガーナミルクチョコレート」とのドリンクを中心としたコラボ商品、「雪見だいふくスイーツ」など、ロッテグループのシナジーを生かした商品を投入している。ファストフードでは弱いとされるスイーツやドリンクを強化しつつ、ロッテのアンテナショップとしての役割もしっかり果たしているといえよう。
最近は、韓国で流行している「のび〜るチーズスティック」を日本の外食チェーンでいち早く発売するなど、トレンドを意識した展開も行っている。のび〜るチーズスティックやタピオカをアレンジした「タピオカラーズドリンク」、そして「4-dan絶品チーズバーガー」はインスタ映えを意識した期間限定の商品となっており、これらを目的とした来店も多い。
ロッテリアの広報担当者は「飲食業を生業とするなら、おいしいは当たり前。楽しさや驚きがファストフードの強みだと考えています。オリジナルを追求し、おいしいと楽しさや驚きが両輪となったバランスの良さが、お客様に支持されているのではないでしょうか」と語っている。
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