明治や江崎グリコも手を出したハンバーガービジネス ロッテリアだけが飛躍した理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)
明治や江崎グリコといった名だたる菓子・乳業メーカーがこぞってハンバーガービジネスに参入していた。しかし、現在も大きく繁栄しているのはロッテリアだけだ。どこで差がついたのだろうか。
明治乳業のハンバーガーショップはどうなったのか
サンテオレは、1973年に明治乳業によって設立された。95年には関東を中心に100店舗超を展開する中堅のチェーンであった。当初は「明治サンテオレ」と称していたが、運営会社の明治サンテオレは、2003年に明治乳業傘下の東京明治フーズに吸収合併されたようである。サンテオレの事業は明治の系列から離脱して、06年にサンテオレコーポレーション(東京都杉並区)に譲渡されるなど紆余曲折を経て現在に至っている模様だ。事実関係がはっきりしない部分があるので、これまでの経緯を明治フレッシュネットワークに問い合わせたが、「もう古いことではっきりとは分からない」とのことだった。
現在でも営業している横浜市中区の日本大通り店を訪ねると、みなとみらい線日本大通り駅の改札外にあり、カフェ風のモダンな店舗になっていた。ハンバーガーやビーフテリヤキバーガーといったメインの商品は、ポテトまたはオニオンリングを付けたドリンクセットで700円前後。しっかりとした味の肉とソースで、価格に見合った価値を感じた。しかし、食事としてとらえるなら、1個では足りない人が多いのではないかと思えるボリュームだった。日替わりでパスタも用意されており、女性も満足できる店舗に進化していた。
サンテオレは店によってメニューが異なるようだ。横浜市内にある他の店舗では、あの松坂大輔投手も通ったという能見台店(横浜市金沢区)の店主が引退したため15年に閉店している。のれんを守る店は、ぜひとも後継者を迎え入れて味を後世に伝えてほしいものだ。
森永のハンバーガーショップはどうなったのか
森永の「森永ラブ」は、首都圏を中心に最大で50店ほどチェーン展開した。東京都心型の店舗展開をしたので、都民にとっては存在感があったかもしれない。森永に問い合わせたが、あまりに昔のことなので詳細は分からないとのことだった。各種情報を総合すると、次のような店だったらしい。1975年、森永製菓の子会社であるレストラン森永によって港区三田に1号店をオープン。キャッチフレーズは「おいしさわけあおう!」で、ハンバーガーの他、アイスクリームなども売っていた。マフィン、特にツナマフィンに定評があった。しかし、96年にJTと米国・バーガーキングの合弁会社だったバーガーキングジャパンに買収された。さらには、01年にバーガーキングがいったん日本から撤退するにあたり、店舗はロッテリアとファーストキッチンに売却されて消滅したという。
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