人手不足倒産、7月時点で200件超え 「よりよい待遇」求め転職増加か:年間で過去最多になる可能性も
東京商工リサーチが2019年1月〜7月の人手不足関連倒産の調査結果を発表した。倒産件数は、年間調査で過去最悪を記録した2018年と同じく、7月時点で227件に上った。
2019年1月〜7月に、従業員退職などの人手不足によって起きた倒産は227件――。東京商工リサーチがそんな調査結果を発表した。年間調査で過去最悪を記録した2018年の同時期と同数に達しており、8月以降の結果によっては前年記録を更新する可能性もある。
具体的な要因は、代表者や幹部役員の死亡、引退などによる「後継者難」が134件でトップ。前年同期(2018年1〜7月/178件)よりも40件以上少なかったが、約6割を占めた。2位は人材確保が困難になり、事業継続に支障が出る「求人難」で51件(前年比112.5%増)。その後、従業員退職(25件、同127.2%増)、人件費高騰(17件、同21.4%増)と続いた。
東京商工リサーチは「特に中小企業では、社員が何人か抜けて仕事が回らなくなり、売上確保や資金繰りにも影響を来して倒産するケースが多い。また、今よりも良い待遇を求めて転職する人が増え、採用でも人が集まらない影響もあるのではないか」とコメントしている。
産業別で見ると、最も倒産件数が多かったのは老人福祉、介護、飲食などを含む「サービス業他」(74件)だった。「福祉や介護、飲食などは、仕事がきつい、給与が低いといった理由で世間的にも避けられがちな仕事。人手不足がそのまま倒産につながるケースも増えてきているのではないか」(東京商工リサーチ)。
次いで多いのは「建設業」(39件)で、その後「製造業」(27件)、卸売業(23件)、小売業(21件)――と続いた。
東京商工リサーチは「近年は人手不足関連の倒産が増加している。すでに倒産に深刻な影響を及ぼしつつあるようだ」と分析している。
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