「時差Biz」が、なかなか普及しない理由:朝がつらい、だけではない(1/4 ページ)
今年もまた、東京都は「時差Biz」に取り組んでいる。企業に時差出勤を呼び掛けているわけだが、なぜなかなか普及しないのか。行政や鉄道会社だけの問題でなく、企業も……。
ここ数年、東京都は毎年夏になると、「時差Biz」のタイトルで時差出勤推進キャンペーンを行っている。
東京都が旗をふり、鉄道事業者がそれに合わせたもので、一般企業の約1230社が参加。各社は出勤時間を早くしたり、遅くしたりして、時差出勤に取り組んでいる。
なぜ、時差出勤が求められるのか
まずは通勤をめぐる状況を説明したい。多くの会社が、朝8時30分から9時30分の間に始業する。都心部の鉄道は、8時から9時までの間に、多くの乗客が集中する。その時間帯はダイヤが過密状態、列車内にも人があふれ、不快さが増す状況となっている。ましてや夏のこの時期、暑苦しくてたまらない。そのため、時差出勤が求められるのだ。
少しでも快適に通勤をすべく、東京都が呼びかけているのが「時差Biz」だ。
時差BizのWebサイトをみると、「時差Bizとは、通勤ラッシュ回避のために通勤時間をずらす働き方改革のひとつです」と記されている。通勤ラッシュ解消を掲げる都が、さまざまなところに呼びかけて「働き方改革」を促そうとしているのだ。
では、どうやって「働き方改革」を促そうとしているのか。まずは時差出勤。例えば、取引先などとの折衝のない部門を、1時間早く出勤させるようにする。そのぶん、退勤も1時間早い。
次にフレックスタイム制だ。1カ月以内の総労働時間を定めておき、始業時間と終業時間を従業員が決めるようにする。社内で混雑時間帯の出勤を控えるようにするといったことがある。また、「テレワーク」の導入ということもある。自宅やサテライトオフィスで仕事ができるようにするというものだ。これで、通勤自体を減らそうという方向性も出ている。
このように、企業は「時差Biz」に対してさまざまな取り組みをしている。では、鉄道会社は何をしているのか。
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