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「時差Biz」が、なかなか普及しない理由:朝がつらい、だけではない(2/4 ページ)
今年もまた、東京都は「時差Biz」に取り組んでいる。企業に時差出勤を呼び掛けているわけだが、なぜなかなか普及しないのか。行政や鉄道会社だけの問題でなく、企業も……。
「時差Biz」に対する鉄道会社の取り組み
鉄道会社は主に、早朝時間帯の増発、混在状況をWebサイトやアプリなどで掲載、ポイントを付与、有料列車の運行などを行っている。
早朝時間帯の増発を行っているのは、東急電鉄や東京メトロである。東急電鉄では「時差Bizライナー」や「時差Biz特急」を運行し、早朝時間帯の利便性を高めようとしている。東京メトロは、日比谷線・半蔵門線・南北線で列車を増発している。
これにより、早朝時間帯の利用促進と、混雑緩和を目指している。
混雑状況の掲載を行っているのは、JR東日本、東武鉄道、西武鉄道、京急電鉄、東京メトロ、つくばエクスプレスなどである。どの時間帯の、どの車両が混んでいるのか、あるいは空いているのかを表示して、快適に乗車してもらおうという仕組みである。普通に通勤していた人が、電車の中でアプリなどの表示を見て混雑状況などに気付き、翌日からはより適切な通勤電車の乗り方を考えるようになる。
特に多いのがポイント付与だ。「時差Biz」参加社の多くが行っている。ポイントを抽選でプレゼントするJR東日本のようなパターンもあれば、京王電鉄のように期間を区切ってポイントを付与するパターンもある。東急のように条件を満たせばもれなく、という会社もある。
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