「時差Biz」が、なかなか普及しない理由:朝がつらい、だけではない(3/4 ページ)
今年もまた、東京都は「時差Biz」に取り組んでいる。企業に時差出勤を呼び掛けているわけだが、なぜなかなか普及しないのか。行政や鉄道会社だけの問題でなく、企業も……。
各社の取り組み
ポイント付与でもっともすごいのが、京急電鉄の取り組みだ。朝7時30分から9時までに、平和島〜品川間で普通列車にのみ乗車した人に、ポイントを付与している。車掌が自動案内放送を行うと同時に、人の耳に聞こえない音を流し、アプリを開いているスマートフォンがその音を聞くことで、「KQスタんぽ」を取得できるという仕組みだ。
ピークタイムとはいっても、京急でいう快特や特急と、普通列車との間には乗車人数に差がある。だいたい、速達型のほうが乗車人数は多い。これはほかの鉄道会社でも同じだ。ゆったりと通勤するためにあえて停車駅の多い列車を利用する人もいるが、なるべくなら通勤時間を短くしたい、と考えている人のほうが多い。そういった利用者の行動パターンを京急はよく考えて、この取り組みに挑戦したともいえる。
有料列車の運行は、着席保証型の列車を運行することである。例えば京成電鉄では、「モーニングライナー」「イブニングライナー」を運行している。東武でも「TJライナー」や、「スカイツリーライナー」を運行している。
興味深いのは、京王電鉄がスムーズビズ集中取組期間に合わせて臨時の「京王ライナー」を運行していることだ。橋本行が午後4時44分新宿発、京王八王子行が午後5時04分新宿発と、早朝に出社した人の帰宅に合わせて運行している。実際、この時間帯になると京王の新宿駅は混雑し始め、列車を待つ人が多くいる。そういった人もターゲットに入れているのだろう。
このほかにも、東急電鉄がサテライトオフィスを提供するなど、さまざまな取り組みを行っている。
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