仕事中の「30分の昼寝」で、パフォーマンスはどれほど変わるのか:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
「昼寝」の重要性が見直されている。仕事のパフォーマンス向上や、勉強、長時間の運転にも効果的だとされる。睡眠時間がとにかく短い日本でも、企業などで昼寝を取り入れるケースが出てきた。導入を考えてみてはどうだろうか。
慢性的な睡眠不足の国・日本
英BBCはつい最近、同社のWebサイトで、「慢性的な睡眠不足の国家である日本――。いくつかの会社では、昼食後の昼寝を導入することで、この問題を解決できるかもしれないと考えている。『昼寝』は広がるだろうか」という記事を掲載した。
その記事では、OECD(経済協力開発機構)の統計を紹介している。それによれば、米英仏中などを含めた全体の一晩の平均睡眠時間は8.3時間だが、日本人は世界で最も睡眠時間が短く、一晩で約7.3時間しか寝ていない。
もととなった統計に当たってみると、韓国は7.85時間、メキシコは7.9時間、デンマークは8.1時間、スウェーデンは8.5時間。長いのは、南アフリカの9.2時間、エストニアの8.8時間。要は、日本人は睡眠時間がとにかく短いということである。
そんな日本でも、昼寝を導入しようとする会社が増えているらしい。BBCでは、そんな会社の一つとしてGMOインターネットグループを取り上げている。同社は社内に「昼寝スペース」を設けており、多くの社員が利用している。
さらに海外でも、昼寝を取り入れようとする動きがある。スペインではシエスタという昼寝の文化があるが、欧州の他の地域では昼寝というものはあまりいい習慣だと受け取られてこなかったという。それが最近、「昼寝バー」と呼ばれるサービスが広がっている。現在、フランス・パリ、英国・ロンドン、ベルギー・ブリュッセル、ルクセンブルクで、昼寝バーが存在する。仕事の合間など昼間にサクッと昼寝ができるのである。
また、NBAプレーヤーは夜に試合が入っていることが多いため、午後3時ごろはこぞって「昼寝タイム」に当てているという。彼らだけでなく、夜に試合をするアスリートたちは、パフォーマンス向上のために昼寝をすることが多いとも言われている。
また米国の大学では、学校新聞が「キャンパス内で昼寝のしやすい場所」といった情報を出しているケースもある。とにかく、多くの人が昼寝を欲しているというのは間違いなさそうだ。
関連記事
- スーツ姿のビジネスマンが「時代遅れ」になる日
米金融大手ゴールドマン・サックスが社内のドレスコードを緩めると発表した。米国企業では、職場の服装がカジュアル化しつつある。ビジネススーツが「過去の産物」となる日も遠くないかもしれない。 - 海外でも議論噴出 なぜ「高齢ドライバー」の運転を止められないのか
東京・池袋で発生した高齢ドライバーによる死亡事故。ドライバーは運転能力低下を認識していたのに、なぜ運転を続けてしまったのか。私たち自身が責任を持って、高齢ドライバーへの向き合い方を考える必要がある。 - 「才能ある貧乏」と「無能な金持ち」はどちらが成功する? 浮かび上がった不都合な事実
遺伝子から子供の才能を調査し、育つ家庭の裕福度によって学歴がどう変わるかを明らかにした研究が話題になっている。「才能」と「環境」のどちらが将来を決めるのか。その結果から、現代社会の問題も浮き彫りになった。 - 中国が握りたい「海底ケーブル」覇権 “ファーウェイ撤退”の本当の狙い
中国・ファーウェイを巡ってさまざまな動きが報じられているが、「海底ケーブル」ビジネスについてもひそかに注目されている。世界の通信を支える超重要インフラである海底ケーブルでも、中国と米国などの間で緊張感が高まっていくかもしれない。 - 僕らのヒーローだったジャッキー・チェンが、世界で嫌われまくっている理由
香港アクション映画の象徴的存在、ジャッキー・チェンのイメージダウンが止まらない。隠し子である「娘」の振る舞いや、自伝で語られた「ダメ人間」ぶりなどが欧米やアジアで話題になっている。私たちのヒーローだったジャッキーに何が起きているのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.