「チョコモナカジャンボ」のモナカは、なぜパリパリなのか 工場に潜入してみた:水曜インタビュー劇場(鮮度公演)(5/6 ページ)
チョコモナカジャンボが売れている。18年連続で売り上げが伸びている要因のひとつに、「モナカの食感」がある。ものすごくパリパリしているわけだが、どのようにしてつくっているのか。特別に工場を取材したところ……。
できたてほやほやを実食
土肥: 最後に、箱詰め。製造ラインをみると、たくさんの機械が導入されているので、箱詰めもロボットが行っているのかなあと思っていましたが、人間が作業しているんですね。
藤井: 箱の中を見てください。商品20個がぎっしり詰まっていますよね。輸送時の揺れによってモナカが割れないように、ぎっしり詰めているわけですが、この箱の中にロボットが詰めようとすると、どうしても割れてしまうんです。ぎりぎりのところを狙わなければいけないので、割らずに箱詰めすることは難しい。もちろんロボットを使って箱詰めはできないのか研究は続けているのですが、現時点では人間の手作業のほうが向いているんですよね。
土肥: 工場でできたアイスは、いつ出荷しているのでしょうか?
藤井: 翌日、すべて出荷しています。そして、店頭には最短で2〜3日後に並ぶといった感じですね。
土肥: 他のアイスも同じような日程で、出荷しているのでしょうか?
藤井: このようなスピードで回している商品は、たぶんないでしょうね。いや、絶対にないです。なぜか。コストがかかってしまうこともあるのですが、管理が大変なんです。
基本的に、アイスには賞味期限がありません。夏に売れて、冬はなかなか売れない、といった商品が多いなかで、どのようにしてつくっているのか。夏に売るために、冬から春にかけてもつくっているんですよね。つくりだめしていて、年間の生産数をできるだけフラットにしている。賞味期限がないのでこのようなつくり方ができるわけですが、チョコモナカジャンボにはできません。
土肥: 長期間保存すれば、そのぶんだけバニラからの水分がモナカに移動してしまう。結果、モナカの鮮度が落ちてしまって、食感がふにゃふにゃするわけですね。
藤井: はい。天気予報とにらめっこしながら、生産数を増やしたり、減らしたりしなければいけません。暑くなると急に売れるので、工場はフル生産で対応しなければいけません。その際に、困るのは人の確保。生産数を増やすので「すぐに来てください」といった感じで、対応するのは難しい。その逆も同じで、生産数を減らすので「すぐに帰ってください」といったことは言えません。スタッフをどうやりくりすればいいのか、といった問題も難しいですね。
さ、ドイさん、できたてのチョコモナカジャンボを持ってきました。せっかくなので、ぜひ食べてください。
土肥: おお、ありがとうございます。できたてほやほやなので、モナカの鮮度が高いわけですね。では、いただきます。
パリパリッ! パリパリッ! もぐもぐもぐ。
(終わり)
書籍&CDが出ました!
ITmedia ビジネスオンラインの連載をまとめた書籍『バカ売れ法則大全』(行列研究所/SBクリエイティブ)が発売されました。本連載「水曜インタビュー劇場」の人気記事をピックアップして、大幅に加筆。また弊誌では掲載していない記事もご紹介しています。また、本連載をまとめた『ササる戦略』(三才ブックス)も発売していますので、合わせてどうぞ。
さらに、水曜インタビュー劇場のMCを務める土肥義則のCDが発売されました。「全国経営者セミナー」での講演を収録していますので、ぜひビジネスのヒントに!
関連記事
- ちょっと前までチヤホヤされていた「いきなり!ステーキ」が、減速した理由
ブームの牽引役などとチヤホヤされていた「いきなり!ステーキ」が叩かれている。2018年12月決算は、8年ぶりに赤字。低迷の原因として、米国での閉店や類似店舗の増加などが指摘されているが、筆者の窪田氏は違う見方をしている。それは……。 - 売上5倍! 経営難に陥っていたキャンプ場を、どうやって再生させたのか
キャンプ場が盛り上がっている。現在は「第二次ブーム」でたくさんのお客が詰めかけているが、その一方で経営が苦しいところも少なくない。そんな中で、赤字に陥っていたキャンプ場を再生した会社がある。どうやって再生させたのか、会社の専務取締役に話を聞いたところ……。 - 行列ができた「ワークマンプラス」、その後どうなったのか?
カジュアルウェアの新業態「ワークマンプラス」が好調である。2018年9月にオープンしたところ、レジに行列ができて、入場制限をかけることも。日本中に旋風を巻き起こしたわけだが、その後はどうなったのか。同社に取材したところ……。 - えっ、炊飯器じゃないの? 三菱電機の高級トースターが面白い
三菱電機が高級トースターを投入する。この市場を見ると、バルミューダ、アラジン、シャープなどたくさんの商品が並んでいるが、三菱のトースターはどのような特徴があるのか? パッと見たところ、小さな炊飯器のように……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - 「ハイボール 1杯50円」で、どうやって儲けているのか 鶏ヤローのカラクリ
首都圏の繁華街を歩いていると、「角ハイボール 50円」と書かれた看板を目にするようになった。激安の雰囲気が漂うこの店は、どのような特徴があるのか。運営会社の社長さんに話を聞いたところ……。 - 築46年なのに、なぜ「中銀カプセルタワー」に人は集まるのか
新橋駅から徒歩5分ほどのところにある「中銀カプセルタワービル」をご存じだろうか。立方体の箱がたくさん積まれていて、丸い窓が並んでいる。1972年に建てられたこのビルが、数年前からジワジワ人気が出ているのだ。その謎に迫ったところ……。 - なぜ「スーツみたいな作業着」をつくって、しかも売れているのか
スーツのような作業着「WORK WEAR SUIT(ワークウェアスーツ)」が売れている。製造しているのはアパレルメーカーでもなく、作業着メーカーでもない。水道工事などを行っている会社がつくったわけだが、なぜこのような商品を開発したのか。その狙いを聞いたところ……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.