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「確実に座れる」私鉄特急が人気、一方で課題も:遠距離通勤の味方(3/4 ページ)
遠距離通勤のサービスが花ざかりである。通勤向けライナー列車に力を入れる社もあれば、通勤向けの特急も人気を集めている。一方、課題もあって……。
鉄道各社、都心部周辺在住者へのサービスの提供
一方、通勤距離が短い、あるいは都心かその近くで暮らすことのメリットは計り知れない。通勤時間が短く、職場まですぐに着くことができる。仕事が終わったらすぐに家に着ける。職住近接である。
子どもがいる場合、保育園に子どもを迎えにすぐに行くことができ、家族との時間も長くすごすことができる。また残業が長引いても、すぐに帰ることができる。終電がなくなっても、タクシーで帰ることが可能な距離であろう。タクシー代もなんとか出せる。
朝のラッシュはどうか。確かに列車内は窮屈だ。しかし、窮屈な時間が短くてすむ。それも、山手線の内側の都心部だけだ。
私鉄では、無料の特急や急行などの優等列車よりも、普通や各駅停車のほうが混雑していない傾向がある。これらの列車は、都心部に近づくにつれてようやく混雑するようになっている。遠距離客を優等列車に、近距離客を普通や各駅停車にと、分離しているのである。この「遠近分離」によって、鉄道会社は近距離客向けのサービスを提供しているのである。近距離の利用者も、大切にしているのだ。
その傾向は特急やライナー列車でも見られる。例えば「京王ライナー」は、新宿を出ると調布には停車せず、府中もしくは京王永山まで停車しない。調布に停車したら、遠距離客と近距離客を分離することができないのだ。小田急のロマンスカーは、代々木上原や下北沢では停車しない。乗客を集めようとさえしない。
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