日本で大人気のディーン&デルーカは、なぜ海外で衰退したのか:かなり深刻(4/5 ページ)
本家のディーン&デルーカが苦戦している。高級食材のセレクトショップとして、ニューヨークの食文化に多大な影響を及ぼしてきたが、現在は全米で4店舗を構えるだけ。なぜディーン&デルーカの売り上げは伸び悩んでいるのか。
ディーン&デルーカに見切りをつけている人たち
その一方で、ディーン&デルーカは長年取り引きをしてきた、小規模の業者に対しての支払いが滞っていることが明らかになっている。例えば、ニューヨークで一番おいしいクロワッサンと評判のベーカリー「Bien Cuit」は、未払金が5万6000ドルにもなっているという。
人気のレイヤーケーキを卸していた「Amy’s Bread」への未払金は、5万1000ドル。カスタマイズしたデコレーションクッキーを15年以上に渡って卸してきた「Eleni’s Cookies」には、未払金が8万6000ドルもある。ケーキ店の「Ceci Cela」も未払金が7万ドルになり訴訟に発展している。
また、長い付き合いになるベーカリーの「Orwashers」は、未払金が2万ドルになり、取引を止めたという。ディーン&デルーカのような企業にとっては、それぞれの未払金は少ない金額かもしれないが、小規模の取引先にとっては死活問題になるほどの額だ。
ディーン&デルーカに見切りをつけているのは、取引先だけではない。同社の社員が辞めているという。解雇された者も多いが、自発的に去っていった社員も大勢いるそうだ。その結果、ITの部署に人がいなくなったため、オンラインショップも閉鎖せざるを得なくなった。同社は、派手な起死回生策を狙っていたのかもしれないが、ビジネスにおいて一番大切な「信用」を失ってしまったのだ。
また、ディーン&デルーカのビジネスが衰退したのには、別の理由もある。競合が増えたことだ。同社が創業した約40年前は、キャビアや高級チーズなどを手に入れられる場所は、ほとんどなかった。
しかし、今ではWhole Foods(ホール・フーズ)、Trader Joe’s(トレーダー・ジョーズ)のほか、イタリア発の高級フードマーケットのEATELY(イータリー)なども上陸し、さまざまな食材が購入できるようになった。
さらに、ネット通販でも欲しい食材が簡単に手に入る。現代の消費者は、食に関する知識が高い上に、価格に対してもシビアだ。
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