ワーキングマザーを“戦力外”にするな 企業の「小1の壁」「小4の壁」の乗り越え方:人材流出を防ぐために(1/4 ページ)
いまだに難しい育児と仕事の両立。小学校就学後も子どものケアを理由に退職する女性は多い。パーソル総研の研究員が調査結果を元に処方箋を提案する。
育児休業や短時間勤務制度の浸透によって、出産後も働き続ける女性が増えてきました。しかし、いまだに復帰後の両立は難しく、両立困難で辞めてしまうケースも見られます。言うまでもなく、これまで育ててきた貴重な人材が離職してしまうことは企業にとって大きな損失です。
ワーキングマザーの置かれる苦境
厚生労働省の「国民生活基礎調査(平成30年版)」によると、末子が1歳の子をもつ母に占める正規職員の割合は31.5%ですが、子どもの年齢の上昇に伴い、小学校卒業頃にかけて低下傾向が見られます(図1)。5歳の子どもをもつ母における正規職員の割合は26.8%であるのに対して、6歳の子どもをもつ母では23.4%(調査時期は6月であることから、6歳はほぼ小学校1年生に該当すると考えられます)、小4から小6にあたる9歳から11歳の時期は23.0%にとどまっています。
両立困難と言うと子どもが未就学児の頃の話だと思われがちですが、パーソル総合研究所の調査結果では、小学生になってからも、勤務時間や休みのとりづらさ、子どもの教育や精神的ケアの問題で離職を余儀なくされていることが分かりました。子どもが小学生になると制度による支援が減りますが、子どもが小学生になっても勤務時間の短縮を含む柔軟な働き方を選択できる職場環境が必要と言えます。
短時間勤務には女性本人のキャリアへの影響や所得のロス、現場の負荷増大というデメリットもあり、フルタイム勤務ができる状況で本人もそれを望むのであればフルタイムで働くに越したことはありません。
しかし、少子高齢化の進行とともに、これから若年労働者が減る一方で、高齢になっても体力的衰えを感じながら働く人や、家族の介護を抱えながら働く人などが増えていくことが想定されます。育児以外の理由でも時間の制限なく働ける人が減っていくことも踏まえると、限られた時間であっても十分なスキルと能力を保有する社員に戦力として力を発揮してもらうことが不可欠です。
どのような働き方であってもスキル・能力を十分に発揮して企業に貢献することを前提に、貴重な人材が不本意に辞めてしまうようなことがないよう、多様な働き方を認めていく必要があると言えます。
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