営業や接待にオンデマンドバス 乗降は”仮想バス停” 住友商事、MaaS参入にらみ実証実験:本社勤務の従業員から
住友商事が社員の移動にオンデマンドバスを導入。本社勤務の従業員が対象。千代田区、中央区、港区付近に仮想バス停を設置し運行。最終的には事業化しMaaSへの参入を狙う。
住友商事(東京都千代田区)が、本社勤務の従業員を対象にオンデマンドバスの実証実験を始める。千代田区、港区、中央区付近の数十カ所に”仮想バス停”を設置。各自のタイミングで車両を呼び出し、客先への移動や接待などに使う。
今回の実験の狙いを広報担当者に聞いたところ、交通渋滞による経済損失の解消とともに、交通系各社の参入で脚光を浴びる次世代移動サービス「モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)」への展開をにらんだ実験だという。国土交通省によれば、日本の交通渋滞による経済損失は12兆円に達するとされている。
好きなタイミングで呼び出せ、従来のバス停より自由度の高い場所で乗り降りでき、また経路も自由に設計できるオンデマンドバスは、従来のバスよりも移動効率が高いとされる。ただし今回はあくまで実験段階とし、運行時間を勤務時間である9時〜18時に限定。利用目的も、客先への移動や、接待など「業務上の目的」に限り可能とした。なお、運賃は無料。
実験に際しては、住友商事のグループ企業やスタートアップ企業と連携。グループ企業の住友三井オートサービス(東京都新宿区)がワンボックスカーを10台ほど用意。また、車両管理サービスを手掛けるスマートドライブ(港区)や駐車場予約アプリを提供するakippa(大阪市)から運行システムや駐車場の提供を受け、運営に役立てる。
最終的にはMaaSへの参入を狙うが、現段階では交通費の削減や交通費精算の簡略化などを効果として見込む。また、利用した従業員に対してはアンケートを行い、タクシーとの比較や、価格設定の調整など、事業化に役立てるという。今後は車内Wi-Fiの整備やドリンクのサービスなど、車内環境の改良も行い、単に効率的な移動をするだけでなく、快適性も追求していくとのこと。
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