勝ち残ったのはどちら? ローソンのテスト販売、その舞台裏に迫る:SNSバレは怖くない(1/4 ページ)
コンビニのテスト販売はどのように行われているのか? ローソンは2種類の新型サンドイッチの売り上げを比較する実験を行った。どちらが勝ち残ったのか。
神奈川県内にある52店舗のローソンで、ある新商品のテスト販売が行われた。店舗の入口付近には新型サンドイッチをアピールする店頭幕やのぼりがはためいている。普段利用しているお客は「新しいサンドイッチのキャンペーンが始まったのかな?」程度にしか思わないだろう。
テスト販売が行われた期間は7月16日〜8月5日。26店舗では「組み合わせA」のサンドイッチが棚に並び、残りの26店舗では「組み合わせB」が並んだ。双方の売れ行きを比較して、全国展開する商品を最終決定する。
コンビニのテスト販売はどのように行われるのだろうか。ローソンの担当者に話を聞いた。
チャレンジの「トマト」と無難な「肉と卵」
テスト販売の対象となったサンドイッチは3種類ある。「SAND FULL(サンドフル) フルーツ」、「SAND FULL トマト&クリームチーズ」、「SAND FULL パストラミビーフとたまご」(いずれも税込397円)だ。組み合わせAの店舗ではフルーツとトマト、組み合わせBの店舗ではフルーツとビーフがそれぞれ販売された。いずれの商品も、具材の断面を前面に押し出し、ボリューム感を強調しているのが特徴だ。
新型サンドイッチを開発した狙いは何か。これまでのサンドイッチは食べやすさが優先されてきた。だが、ローソンでは「具をしっかり食べたい」というニーズが高まっている点に注目。働く女性の昼食・間食ニーズに対応できるような新商品を開発することにした。調査の結果、「フルーツをたくさん食べたい」という要望が強かったため、キウイを2分の1個入れて具の量を増やしたフルーツサンドを全国展開することは確定した。ただ、「タンパク質と野菜を同時に摂りたい」というニーズを満たす商品を決められずにいた。そこで、2種類のサンドイッチをテスト販売することになった。
担当者によると、大きなトマトを使うサンドイッチは“チャレンジ枠”という位置付けだった。パン生地がトマトの水分を吸ってしまうため、製造のハードルが高いからだ。また、「男性客に支持されにくいのでは?」と心配する声も社内にはあった。一方、ビーフのサンドイッチは“スタンダード枠”という位置付け。肉と卵を組み合わせたサンドイッチは手堅く売れるという実績があった。
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