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EVにマツダが後発で打って出る勝算池田直渡「週刊モータージャーナル」(5/7 ページ)

マツダが打ち出したEVの考え方は、コンポーネンツを組み替えることによって、ひとつのシステムから、EV、PHV(プラグインハイブリッド)、レンジエクステンダーEV、シリーズ型ハイブリッドなどに発展できるものだ。そして試乗したプロトタイプは、「EVである」ことを特徴とするのではなく、マツダらしさを盛ったスーパーハンドリングEVだった。

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マツダのプロトタイプEVに試乗する

 マツダは発売前のCX-30(試乗記事参照)をベースにこの新しいEVのプロトタイプを仕上げ、オスロ郊外のワインディングロードを中心に、われわれに試乗の機会を与えた。「MAZDA e-TPV」とボディに描かれたこのクルマは、あくまでもプロトタイプであり、いってみればパワートレインとシャシーの性能を確認するためのもの。CX-30そのままの外観はダミーで、10月24日から始まる東京モーターショーで、本来の専用ボディが与えられてスポットライトを浴びることになっている。

 一言でいえば、それは「スーパーハンドリングEV」だった。読者の中には、例えそれが発電専用であれ「ロータリーを早く」という人も少なくないだろうが、それはもう少し先になりそうだ。ひとまずは純バッテリーEVである。

 主要なスペックは図を参照していただきたい。バッテリー容量から見て航続距離は多分300キロ以下だろう。モーターの出力はテスラ Model 3の半分以下、バッテリー容量も半分少々。何が言いたいかといえば、テスラ以降のEVがその特徴としてきたワープするかのような、あるいはマッスルカーのような怒涛な低中速加速をこのクルマは持っていない。温室効果ガス9割削減課題というクレージーな目標を批准してしまった状況で、怒涛の加速とかいってる場合かどうか考えれば分かるだろう。「ゼロエミッションだから」といっても所詮完璧なゼロではないし、エネルギー保存の法則は変わらない。エネルギーは大切に使うべきだ。


マツダのプロトタイプEVのスペック(マツダ資料より)

 さて、この「e-TPV」は、もちろん遅くてイライラすることはなく、普通の内燃機関と同等以上の加速力は備えている。実はこの新型EVの圧巻の性能はそのハンドリングにある。クルマの操作系が全て随意筋と化したかのように思った通りに動く。印象としては100回操作して100回思った通りの挙動を示してくれる。

 これに乗ってみて、従来の内燃機関車両では、ドライバーの要求をクルマの動きに変換するに際して、車両側の反応を見ながら常に微細に修正が必要だったことを改めて思い知った。

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